【レイダリオに学ぶ】株価が安くなったら投資をするという発想の問題点

投資戦略・方針

「今は株価が高いから、株価が安くなってから投資しよう」という考え方の問題点について、レイ・ダリオ氏の過去のインタビューや著書を参考にしつつ、考察してみました。

過去最高値=投資を避けるべきタイミングなのか?

過去最高値=株価が高い=投資を先延ばしにする、という考え方はいささか短絡的だと私は思っています。

なぜなら、このようなアプローチを取った場合、大きな機会損失を被る可能性が高いからです。

実際に過去の株価推移を見ながら、過去においてこのようなアプローチにどのような結果が待っていたか、確認してみたいと思います。

ロウソク足:月足

1981~1983年にかけてS&P 500は30%下落しました(赤矢印)が、その後、底値から鋭く反転し、たった3か月で過去最高値を更新(オレンジ)しています。

もしこの僅か3か月の間に投資判断が出来なければ、株価は最高値を更新してしまい、その後の長期に及ぶ上昇相場の恩恵を受けることができなかったでしょう。

次は直近の事例として、リーマンショック後の株価推移を見てみましょう。

ロウソク足:月足

こちらも最高値ということを理由に投資を先送りした場合の機会損失は著しいです。

2013年にリーマンショック前の最高値を更新したのち、2018年末の下落(約20%)まで大した下落局面もないままに株価は倍以上になっています。

このように今は株価が高いからという理由で投資を見送ると大きく資産を増やすチャンスを逃してしまう可能性も大きいのです。

一般市民がマーケットのタイミングを計ることは不可能

機会損失の可能性を認識するとともに、残念ながら我々個人投資家が適切な投資のタイミングを見極めることはできない、ということを認める必要があります。

レイダリオ氏も「個人投資家がマーケットのタイミングを計って投資をすることは、世界一のポーカープロを相手にポーカーをするようなものだ(Market timing is ‘like playing poker’ against world’s best)」と言っています。

株式市場は機関投資家が大半を占めています。

一例として、レイダリオ氏のブリッジウォーター社では、1,600人の超一流大学を卒業したスーパーエリートたちが年間何百億円ものコストをかけながら、市場の研究をしており、トレーディング(=タイミングを見た投資)とはこのようなプロを相手に自らの投資の技量を競うようなものです。

何回かは偶然うまくいくかもしれませんが、長期的にこのやり方で市場平均を上回る成績をあげていくことはまずできないでしょう。

取引のタイミングを計ることの難しさは下記のグラフからも分かります。

この表では、2002~2016年を対象に各年のパフォーマンスがよかったアセットを順番に並べられていますが、毎年、結果が目まぐるしく変わっています。

一般に投資すべきタイミングとは、よいパフォーマンスが出る直前ということになるかと思いますが、それを当てることがいかに難しいかは、この表からも理解いただけると思います。

長期投資家にとってはタイミングよりもポートフォリオの資産配分の方が20倍以上重要

米・バンガード社の調査結果が最も分かりやすく、この結論を示してくれています。

米国の709ファンドを対象に1990~2015年までの長期的なパフォーマンスを調査した結果、リターンとボラティリティの91.1%が資産配分に起因しており、銘柄選定と取引時期は8.9%の影響しかない、ということが判明しています。

8.9%のうち、半分が取引時期によるものだと仮定すると、資産配分の方がタイミングより20倍以上大事であるということになります。

したがって、長期投資家としては、マーケットに入るタイミングよりも、ポートフォリオの適切な資産配分を維持することに注力する方が、賢明だということです。

結論:取引のタイミングよりもポートフォリオのバランスを整えることを優先すべき

ここまで見たことから分かることは、ポートフォリオが理想とする資産配分から外れている場合、取引のタイミングよりもポートフォリオのリバランスを優先すべきだということです。

もしすでにバランスの取れたポートフォリオが作れている人は、多少市場のタイミングを見ながら取引したり、もしくは市況の変化によって資産配分が崩れるまで追加投資を待つこともありだと思います。

しかしながら、このブログを見ていただいている方の大半は、自分なりのポートフォリオを模索しながら構築していっている最中だと思います。

そういった場合には、まず自分の理想とする資産配分を一刻も早く実現することに集中し、取引のタイミングを計るのはそれからでもいいのではないか、と思います。

特に「オール・シーズンズ戦略」に代表されるようなリスクを抑えたポートフォリオであれば、相場のどの時点で投資を行っても大きな損失を抱えることはありませんので、まずはポートフォリオのバランスを整えたいものです。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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