オール・シーズンズ戦略におけるコモディティについての考察

オール・シーズンズ戦略

本日は、本家ダリオこと、レイ・ダリオ氏が個人投資家向けに紹介した「オール・シーズンズ戦略」におけるコモディティのエクスポージャーをどうすべきか、について分析・考察したいと思います。

この問題の発端は私が利用しているSBI証券において、コモディティ市場全体にエクスポージャーをとれるETFの取り扱いがないことに起因しています。

同種のETFではインベスコのものがポピュラーだと思いますが、SBI証券では購入することができません。

実はこれらのコモディティETFは経費率が高かったことから、もともとはコモディティ自体を投資対象外としていたのですが、やはり尊敬するレイ・ダリオ氏がコモディティをポートフォリオに加えるべきと教えてくれているのに、一切無視するということはできません。

現実的には直接コモディティ市場へ投資をすることは難しいですし、一発で問題を解決してくれるETFも使えない状況ですが、何かよい代替案がないか考えてみました。

消去法で資源株への分散投資という結論に至る

先に結論を言ってしまうと、資源株へ分散投資でもして気を紛らわすしかない、という乱暴な結論に私は到達しました。

コモディティETFはそもそも買えないですが、仮に買えるにしても基本的にコストが高いうえにどれもひどいパフォーマンスですし、先物市場で個別に原油や銅などを買い付けていくのは、もはや素人のやる領域ではありません。

下記にて過去のチャートなどを載せていますが、基本的にコモディティはどれも値動きが大きいので、安定したポートフォリオを志向する私のような投資家はあまり好まないと思います。

しかしながら、他のアセットと異なる値動きを見せるところや、株式や債券の実質リターンが大きく棄損されるインフレ期に強いパフォーマンスが期待できる点、また資源株には高配当銘柄が多い点などを考慮し、広く薄くグローバルな資源株に資金を張っていくこととしました。

石油株や鉱物株を見ていただければわかりますが、基本的に生産物の値動きと一致した動きをしますし、コモディティそのものに投資する場合と違って配当が出るので、それほど悪くないチョイスかと思います。

とはいうものの、やはりボラティリティが大きすぎるため、資源株はポートフォリオ全体で5%程度組み込めば十分かなと思っています。

以下、前提条件の確認と資源株分散投資に至るまでの思考を記します。

コモディティの前にそもそも「オール・シーズンズ戦略」とは?

オール・シーズンズ戦略とは、アンソニー・ロビンス著「世界のエリート投資家は何を考えているか -黄金のポートフォリオのつくり方-」にて紹介されているレイ・ダリオ氏が個人投資家向けに紹介したポートフォリオです。

同書では下記のポートフォリオが「黄金のポートフォリオ」(オール・シーズンズ戦略)として、紹介されています。

  • 株式(S&P 500もしくは他のインデックス)…30%
  • 中期米国債(7~10年満期)…15%
  • 長期米国債(20~25年満期)…40%
  • 金…7.5%
  • 商品取引(コモディティ)…7.5%

このコモディティ7.5%のエクスポージャーをどう確保するか、もしくはしないのか、または別の方法を考えるか、というのが今回の論点です。

なお、コモディティ以外のアセットについては、国内の代表的なネット証券であれば、それぞれに対応する経費率の安いETFを購入できますので、これらを活用してオール・シーズンズ戦略を実行することは容易です。

なお、オール・シーズンズ戦略自体は、別記事にて詳述していますので、ご興味がありましたら、こちらの記事もご参照ください。

コモディティ(金を含む)に期待される役割

最適な対応策を考えるにあたり、まずレイ・ダリオ氏が金とコモディティを15%も組み入れることを推奨している背景を今一度確認しましょう。

レイ・ダリオ氏のブリッジウォーター社では、過去数百年間の世界中のあらゆる国とアセットクラスのデータを可能な限り収集し、分析した結果として、金とコモディティをポートフォリオに組み入れることの意義を見出しています。

理論的には、金とコモディティはともにインフレ時に高パフォーマンスを示すことから、インフレ時にリターンが低下する株式と債券の補完的な役割を担うことが期待されています。

歴史を振り返ると、1971年のニクソン大統領による金兌換の停止後、1973年を境に各国が変動相場制に移行すると、アメリカでは急激なインフレと金利の引き上げが起きました。

この1973年から1980年までの期間を見てみると、S&P 500は大きく下落したあと、値を戻すので精一杯といった状況でしたが、コモディティの代表格である金やオイルは大きな値上がりを見せました。

1970~1980年のS&P 500

次に、金からより範囲を広げた形でPrecious Metals(レアメタル)についても、1985年からの値動きを金と比較してみました。

青線:Precious Metals 赤線:金

過去30年ほどを見ると、レアメタルには金より良好なパフォーマンスを期待できそうな節はありますが、ボラティリティが半端ないですね…

なお、レイ・ダリオ氏は、現在の政治・経済環境は大恐慌後の1930年代後半に近しい状況にあり、その後の歴史を振り返えると、特に金を保有しておくべきだ、と発言しています。

資源メジャーの株価と生産物価格の相関性は極めて高い

ここまで見たように、コモディティに連動するような金融商品に投資することには一定の効果は期待できそうです。

しかし、繰り返しになりますが、直接コモディティ価格に連動する商品に投資することは難しいので、これらの商品価格に業績が大きく影響される資源メジャーや石油メジャーはどうだろう、と思いまして、実際に相関性を確認してみました。

まず世界3大資源メジャーの一角、リオ・ティント(Ticker: RIO)の株価推移をPrecious Metalsと銅と比べてみました。

Precious Metal(紫線)とRIOの株価チャート
銅価格(紫線)とRIOの株価チャート

Precious Metalsとも一定の相関性は確認できますが、銅価格との連動性がすごいですね。もはやRIO=銅といってもよいレベルです。

なお、世界最大の資源メジャーであるBHPビリトンも、似たような株価推移を示しており、鉱物系コモディティはこれらの資源株で代替できそうです。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は image-83-1024x449.png です
ロウソク足:BHP株価 紫線:鉄鉱石価格

次に、もうひとつのメジャーなコモディティである石油も念のため見てみましょう。

もやは見なくても結果は分かる気がしますが、石油メジャーの一角・ロイヤルダッチシェル(Ticker: RDSB)と原油価格を比較してみました。

WTI原油先物(紫線)とRDSBの株価チャート

想像したとおり、だいぶ相関性が高いですね。

2014年半ばから大きく原油価格が下落していますが、高配当銘柄の本領を発揮して株価は踏みとどまっていますね。

これを見たときに思ったのが、「商品価格をベースにそれに上乗せするようなパフォーマンスが期待できるのなら、そちらに投資した方がよいのではないか」ということです。

原油価格が大きく下げてもそこまで株価は下がらず、さらに年6%以上の配当を受け取ることができるのであれば、コモディティの代替として石油株も悪くないですね。

商品価格が下がっても配当が慰めてくれそうなので資源株を買う

如何せんボラティリティが高いので、いつ投資しても大きな含み損を抱える可能性がある点が難点ですが、ここまで見た通り、コモディティそのものにエクスポージャーを取る場合と比較して、資源株への投資にはメリットもあります。

また、シーゲル教授の著書にもあるとおり、S&P 500のなかでも石油銘柄のエクソンモービルの長期パフォーマンスは出色です。

これは機関投資家が敬遠する要素が多いため、株価が割安で放置されやすく、結果として高配当が維持されるため、配当再投資のパワーが高まり、大きなリターンを生み出すからです。

同じような特性は、これまで見たような他の資源・石油メジャーにも期待できます。やってるビジネスは基本的に同じですからね。

個人的に尊敬するレイダリオ氏の勧めでなければ、コモディティに注目することもなかったですが、資源株を複数銘柄購入し、これからもなんちゃって「オール・シーズンズ戦略」を実行していきたいと思います。

以上、本日はレイ・ダリオ氏推奨の「オール・シーズンズ戦略」におけるコモディティの取り扱いについて、考察してみました。

最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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