【中国株ETF】CXSEは非国有企業で構成される中国株ETF【新興国株】

インデックス投資

先日、SBI証券で取り扱いのある中国株ETFについてまとめた記事をアップしました。

上記の記事ではFXI/CXSE/CNXTと3つのETFを比較しましたが、個人的にはこのなかでCXSEの購入を検討しているところですので、今回はCXSEに対象を絞って分析・考察した記事をまとめてみました。

そもそもなぜ中国株に投資をするのか?

そもそもなぜ中国株への投資を検討するのかですが、それは中長期的に米国・米ドルが覇権国・基軸通貨の地位を失ったときに取って代わる国は現状では中国しか考えられないからです。

覇権国の地位を手にすると国際的なルールや様々な仕組みを自国に有利なように捻じ曲げることができ、その後も有形無形の力を駆使して自国に有利な状況を維持することが可能になります。

つまり、米国→中国への覇権国の交代が起きると世の中のルールや仕組みが中国に有利な形に大きく変わるということです。

これは目先の個別企業の業績等とは次元の違う話で、こうなってしまえばその後の世界は中国がより発展する方向に進み、当然、中国企業がその恩恵を最も受けるものと考えられます。

このシナリオが現実にならない可能性も当然ありますが、一定程度このような事態に備えて中国株にベットしておくのは賢明な判断と思いますし、現在の国際社会の枠組みのなかでも中国企業は順調に成長していますので、それほどリスクのある動きだとも思っていません。

ちなみにレイダリオはこの覇権国の交代については、実際にそうなるかどうかという問題ではなく、いつそうなるかという問題だとずっと言っています。10~20年後の世界が実際にそうなっているか非常に興味深いですね。

CXSEの基本情報

先日の記事でも紹介したとおり、経費率0.32%は中国株ETFとしては最安クラスです。

設定日は2012年9月19日で8年超の運用実績があり、純資産額は400億円程度となっています。

構成銘柄数は149となっていますが、何と言ってもこのETFの特徴は国有企業(政府の保有比率が20%以上の企業)をポートフォリオから外す戦略を取っているところです。

なぜ国有企業を投資対象から除外することが有益だと考えられるのかをまとめてみました。

1.国有企業(State-Owned Enterprises)の性質

株主価値の最大化に集中している通常の企業と異なり、国有企業には時として株主の利益を最大化することよりも、政府の意向や要請に応えようというインセンティブが働くことがあります。

これ自体も一般投資家や株主との利益相反に当たりますが、同時にこういった企業体制・風土が中長期的には事業の効率性を低下させ、当該企業やその企業の属する市場の成長を鈍化させるというものです。

したがって、このような言説によれば、経済的な観点からは国有企業は好ましい存在ではなく、基本的には民営化を進めるべきだ、ということになります。

2.投資リターンの差異

投資家にとって最も重要な点は、国有企業と非国有企業の投資においてリターンに有意な差があるのか、ということです。

結論としては近年の中国株に関してはこの差が非常に大きくなっています。

2007年12月末から2020年9月末を見てみると、青線の非国有企業が黒線の国有企業を大きくアウトパフォームしていることが分かります。

また各期間のリターンでも非国有企業(Non-SOE)が国有企業(SOE)をアウトパフォームしていることが分かります。

https://www.wisdomtree.com/-/media/us-media-files/documents/resource-library/investment-case/the-case-for-china-ex-state-owned-enterprises-fund-(cxse).pdf

3.ファンダメンタルズの差異

次に気になることはファンダメンタルズ(もしくは事業の質的な面)で両者に有意な差が見られるかという点です。

直感的には国有企業は非効率な事業運営を行っているため、ROAやROEなどの事業効率性を表す指標で非国有企業に劣後していると考えられますが、下記の2つのチャートからそのような傾向が読み取れます。

これらの指標はセクターによって平均値がだいぶ違う(例えばIT企業と電力会社などは比較にならない)ので、本来はそのあたりを考慮する必要はありますが、少なくとも非国有企業の方が効率的に収益を上げられる事業を行っていることが分かります。

4.セクターの違い

最後に国有企業と非国有企業が属するセクターの違いです。

上述のとおり、業種によって平均的な収益性や事業の特性に違いがありますが、非国有企業は今後もより成長することが期待されるNew Economyの比率が非常に高いことが分かります。

近年、成長著しいConsumer Discretionary(アリババなど)やCommunication Services(テンセントなど)などの投資比率を上げたい場合にはCXSEを活用することは有用だと考えられます(国有企業が入るポートフォリオだと銀行株などの伝統的セクターの比率がだいぶ高くなってしまうため)。

CXSEのセクター比率と上位銘柄

CXSEのセクター別構成比は以下のとおりです。

https://www.wisdomtree.com/etfs/equity/cxse

これだけ見ても今一つイメージが沸かないと思いますので、各セクターの上位10社を①Consumer Discretionary, ②Communication Services, ③Health Care, ④Financials, ⑤Information Technologyの上位5セクターについて掲載しておきます。

1.Consumer Discretionary

2.Communication Services

3.Health Care

4.Financials

5.Information Technology

上記5セクターで全体の83.6%を占めています。

CXSEのトラックレコードと株価推移

CXSEの設定来のパフォーマンスをS&P 500(SPY)と比較してみました。

【2012年9月19日~2021年1月12日】

オレンジがS&P 500、青がCXSEです。

上記の期間ではコロナ後の著しい株価上昇により、CXSEがS&P 500を上回っていることが分かります。

これが持続性のあるトレンドなのか、興味深く見守っていきたいと思っています。

なお、過去のパフォーマンスの主な指標は以下のとおりです。

【2013年1月~2020年12月】

こうやってみるとCXSEのボラティリティが凄まじいです(が、個人的にはこういうの嫌いじゃないです)。

2013~2016年にほぼゼロリターンが4年も続いたあと、2017年に年間リターン+80%という大爆発を見せて以降、ボラティリティが非常に大きくなっています。

この2年間も+38%/+59%と持続不可能な水準のリターンを記録しており、そろそろ大きく下げる年が出てきそうな気もしますが、どうなるでしょうか。

なお、CXSEは分配金は毎年出していますが、せいぜい1%前後といったところですので、インカムに関しては期待できないETFとなっています

結論:バリュエーションだけ気を付けて買いにいきたい

個人的には既存のポートフォリオとのバランスを考えても、CXSEは是非ともポートフォリオに組み入れたい銘柄だと考えています。

ただ気になるのはスカイロケットしている銘柄に今のタイミングで飛び乗るのか、というところです。

なので、今は勉強不足なこともあり、まずは組入比率の高い個別銘柄(アリババ、テンセント、中国平安など)をスタディして、CXSE全体のバリュエーションについて納得感を持てたら購入したいと思います。

でもこういう判断が一番難しいですし、結局最後はエイヤ!なんですけどね・・・

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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