先月、IB証券への移行に伴い、中期保有ポジションとしてIXGを5%ほど組み込みました。
本日は全世界の金融セクターをこれ1本でカバーできるIXGについてまとめてみたいと思います。
※本銘柄はSBI証券でも購入できそうです。
IXGに投資した理由
金融セクターについては、IB証券への移行を検討していた11月下旬~12月上旬にかけて、下記の理由から一定程度保有してみても面白いかなと思い、購入に至っています。
- 株価の出遅れ
- 今後の復配期待
- 金利上昇へのヘッジ
「1.株価の出遅れ」はそのままですが、S&P 500などの指標が過去最高値を更新し続けるなか、金融セクターはコロナ前の水準を回復できていませんでした。
したがって、物事が正常化した際には、まだ株価に回復余地があると見ることもできると考えました。
「2.今後の復配期待」ですが、こちらは行政指導によって、2020年は配当や自社株買いを止めた金融機関が特に欧州の金融機関を中心に多かったです。
一部配当や自社株買いを再開している会社もありますが、セクター全体として見た場合に、コロナ前の水準からは程遠く、こちらも株価同様、以前の水準までの回復余地が大きいと考えました。
「3.金利上昇へのヘッジ」については、一般的に金利上昇はすべての金融商品の価格下落圧力となります。
これは金融株においても例外ではないですが、金融セクターについては、金利上昇≒本業の利幅上昇という側面もあり、金利上昇のネガティブな影響が相殺される側面があろうかと思います。
商業銀行の貸出金利や保険会社の運用収益に金利上昇がポジティブに働いてくれば、決算良化→配当・株価上昇の可能性もあるのではないかと考えました。
IXGの基本情報

IXGは設定日が2001年11月12日と歴史のあるETFですが、純資産額は$356.2m(360億円程度)と小さく、あまり人気はありません。
組入銘柄数は190銘柄で米国の大手企業はもちろんのこと、先進国や新興国の大手企業もカバーされています。
分配金は年2回、6月と12月に出ます。
2020年の配当実績を直近のNAVで除した利回りは2.05%ですが、2019年の配当ベースで計算すると2.90%になりますので、2021年は2%台半ばの配当を出してくれればと期待しています。
運用会社はブラックロックですので、そこは安心していいと思いますが、経費率が0.46%と高めなのが長期保有には向かないかなという印象です。
なお、ETF.comによればIXGのPERは16.03、PBRは1.05となっています。
個人的には出来れば株式やREITと同じように、米国ETFと米国外ETFを組み合わせる方法で金融セクターもカバーしたかったのですが、米国以外をカバーするいい金融セクター特化型のETFがないため、次善策としてIXGで全世界をカバーする作戦を取りました。
米国以外をカバーする必要がない方は、米国金融セクターETFには、XLF(経費率0.13%)やVFH(経費率0.10%)などのナイスなETFがありますので、これらを活用すればよろしいかと思います。
IXGの業種別比率と上位銘柄
IXGの業種別構成比は以下のとおりです。

Banks, Diversified Financials, Insuranceという大まかな分類ですが、この3つのカテゴリーではどれかが突出していることもなく、比較的バランスがよさそうな印象を受けます。
構成銘柄の上位10社は以下のとおりです。

上からバークシャーハザウェイ、JPモルガン、バンクオブアメリカ、AIAグループ、ウェルズファーゴ、シティグループ、ロイヤルバンクオブカナダ、HSBC、コモンウェルス銀行(豪州)、モルガンスタンレーとなっています。
世界の主要な金融会社が勢ぞろいしている感じですね。
上位10銘柄の構成比率は28.4%となっており、結構分散は効いているのではないでしょうか。
国別の組入比率は以下のとおりです。

米国の比率は49.09%と半分程度となっており、その後、カナダ・英国・豪州・日本・中国・スイス・香港・ドイツ・フランス・スウェーデン・イタリアとそれぞれが1桁台のアロケーションで続いています。
個人的には米国以外にも半分くらい張ってくれて、かつ各国の主要企業を押さえてくれているので、IXGについては、これはこれで便利で悪くないETFだとも思っています。
IXGの運用実績
IXGの設定来のパフォーマンスをXLF(米国金融ETF)と比較しました。
オレンジがXLF、濃青がIXGで、2001年11月12日~2021年1月7日が対象期間です。
コロナまではほぼ一貫してIXGが上回っていましたが、コロナ後の回復で現在は若干XLFが上回っています。
対象期間のIXGのリターンは110.76%、XLFのリターンは121.38%となっています。
FLCHとベンチマークの過去のパフォーマンスは以下のとおりです。
ベンチマークの過去5年のリターンが9.39%、過去10年が6.74%ですから、長期的にも6%くらいのリターンは期待できるのでしょうか。
結論:米国以外の金融セクターもカバーしたいならIXGは使える
IXGについては永久保有するつもりはないので、時間軸は特に決めていませんが、バリュエーション的に十分戻したなと感じるところまで株価が戻れば売却したいと思っています。
金融業界は全般的にリーマンショック前の水準に戻っていません。
業界を取り巻く構造的な変化(法規制等)や右肩下がりの金利動向もありますので、近いうちにそこまで戻る可能性は低いと思いますが、2020年後半からは全般的に決算がよかったにも関わらず配当や自社株買いは抑え気味でしたので、ここから上げる余地もあろうかと思います。
いずれにしてもバランスを意識した運用を今後も継続していきたいと思います。
本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
コメント
いつも記事を読んで幅広い知識に脱帽してます。
私はオールシーズンを基本に運用してきました。(コモデティは金で代用してます)昨年は年利8%できましたが、市場への大量資金の流入や債権価値の下落。インフレ対策。自身のリスク許容度を考え、
VTIを、30から40
TLTはかわらず40
IEFは15から0に
GLDを15から20に変更しようか迷っています。
バックテストはしています。
このポートフォリオに意見があれば参考にらしたいので、もし良ければ御意見を聞きたいです。
こちらこそコメントいただき、ありがとうございます。
ディフェンシブな思考が強いようにお見受け致しましたので、その路線で行くなら、私ならTLTをIEFに変えたうえで若干比率を落とし、その分を米国外の株式(VXUSなど)に回したい気が致します。
VTI 30%, VXUS 20%, IEF 30%, GLD 20%みたいなイメージでしょうか。
株式については、ここ10年くらいの米国株のパフォーマンスがよすぎたので、ここから先は米国以外が米国をアウトパフォームする可能性も結構あると思っています。
ですので、持たざるリスクも考えてVXUSとVTIを組み合わせて、全世界をカバーした方がきれいかな、と。
債券については、もしも今、国債をポートフォリオに組み入れるなら、個人的には長期国債は外して中期国債(もしくは短期国債)だけにしたいかな、と。
TLTとIEFの直近の数字を確認してみましたが、利回りは1.56%と1.09%で、0.5%ほどの差しかない一方、Effective Durationは18.87年と7.83年と大きな差があるようです。
ですので、長期国債利回りが1%上昇するとTLTは20%近く下落するわけですが、0.5%程度の超過利回りのためにこのリスクを取るのは割に合わない気がします。
また利回りの絶対水準としても1.5%は非常に低い気が致しますので、ここは実質的なキャッシュポジションと割り切って中期国債だけでいいのでないか、と。
GLDについても個人的にはキャッシュポジションみたいなものだと思っておりますので、IEFと合わせて50%もあれば、ポートフォリオのクッションとしては十分機能してくれるのではないかと思います。
以上、大したことのないコメントで恐縮ですが、何らかの参考になれば幸いです。
丁寧な返信ありがとうございます。
TLTについてはコロナの時の逆相関が心強かったこと。将来イールドカーブコントロールが導入されてリターンが得られるかもと考えてましたが、現在のリスクが高いですね。
VXUSやVTはVTIと同じ値動きをするので、そこはサテライトの仮想通貨でカバーしよう思っていましたが、御意見頂き自分の考えに見落としが多いことに気がつきました。
もう一度考えます。
ありがとうございます。