【金鉱株】バリック・ゴールド(GOLD)は世界2位の金鉱会社

オール・シーズンズ戦略

本日は金の代替として検討に値する金鉱株として、時価総額で世界2位の金鉱会社バリック・ゴールド(Ticker: GOLD)を記事にまとめてみました。

昨年来、金鉱大手の業績は順調に伸びていますので、本日はそんなGOLDの最近の状況をまとめてみました。

※業界一位のNEM(ニューモント)の記事も別途まとめていますので、興味がある方はこちらも併せてご覧ください。

GOLDはカナダ・トロントに本社を置く世界2位の金鉱会社

GOLDは1983年にPeter Munkによって設立され、25年も経たずに世界最大の金鉱会社となりました。

2019年に米国のNewmont Miningが、当時世界5位だったカナダのGoldcorpを100億ドル(約1.1兆円)で買収したことで、現在は世界最大手の座についていますが、それまではBarrick Goldが世界一の金鉱会社でした。

2019年の産金量ランキングは以下のとおりです(出典:https://investingnews.com/daily/resource-investing/precious-metals-investing/gold-investing/top-gold-mining-companies/)。

  1. Newmont (NYSE: NEM):195.7トン
  2. Barrick Gold (NYSE: GOLD):170.0トン
  3. AngloGold Ashanti (NYSE: AU):102.1トン
  4. Polyus (MCX: PLZL):88.4トン
  5. Kinross Gold (NYSE: KGC):78トン
  6. Newcrest Mining (ASX: NCM):73トン
  7. Gold Fields (NYSE: GFI):68.4トン
  8. Agnico Eagle Mines (NYSE: AEM):55.4トン
  9. Harmony Gold (NYSE: HMY):43トン
  10. Polymetal International (LSE: POLY) :41.3トン

上述のとおり、時価総額でも産金量でもNEMに次いで二番手となっていますが、それほど差はありません。

業界1位のNEMの金生産量は年間6.5~7.0百万オンスです。

GOLDの生産量は年間5.0百万オンス前後ですので、NEMよりは少し劣ります。

今後5年間、ほぼ同程度の生産量が想定されています。

AISC(All-in Sustaining Cost)については、2020年の1オンス950ドル程度から2025年には800ドル前後まで落とす計画になっています。

前回の五カ年計画と比較すると生産量は同程度、コスト目標は更なる高みを目指す設定となっています。

Cost of Salesは1,000~1,050ドルでほぼ横ばいになる想定になっていますが、2021年1月24日現在の金価格は、1オンス1850ドル前後で推移していますので、この状況が続けば利幅は十二分に確保できそうですね。

上図はGOLDの保有する鉱山の分布や生産量を示しています。

業界最大手のNEMとのJV(GOLD 61.5%:NEM 38.5%)であるNevada Gold Mine(8つの金鉱からなる世界最大の金鉱コンプレックス)などを有する北アメリカ大陸が全体に占める割合が高くなっています。

GOLDの業績推移(売上・利益)

それではGOLDの財務情報を見ていきましょう。

まずは業績推移です。ここからのグラフはMorningstarの情報を基に作成しています。

2013年は金価格が28%下落しましたが、この下落幅は1981年以降で最大で、GOLDも同年に多額の減損処理を余儀なくされ、最悪の決算となっています。

同業のNEMも2013年には同様に多額の損失を計上しています。

個人的には2013年はしょうがないと思うのですが、2014年以降も純利益がマイナスの年が多く、事業そのものの安定感に欠けている印象は拭えません。

なお、2018年は減損計上によって会計上の利益はマイナスになっていますが、ご案内のとおり、ほぼ2018年末をボトムに金価格が上向き始めた結果、2019年にはナイスなV字回復を見せています。

上記を見てみると、2018年から2019年で大きく業績が上向いたことが分かります。

一方で2020年のガイダンスを見てみると、2019年との比較では産金量は下がりつつ、コストが上がる想定になっていますので、今後の金価格の動向次第ではやや伸び悩む可能性も感じられる内容となっています。

長期的な持続性という観点から10年単位の生産計画を見ると、今後も2030年までほぼ同程度の産金量が確保できる計画となっています。

逆に言えば、大きな買収等がない限りは金価格の上昇以外で業績が大きく上向く要因はないようにも見受けられますので、その辺りは頭に入れておいた方がよさそうです。

GOLDのEPS(1株当たり利益)と配当の推移

 次にGOLDのEPS(1株当たり利益)と配当の推移を見てみましょう。

赤字の年が多すぎて配当性向を見る意味があまりないのですが、赤字でも幾ばくかでも配当を出し続ける方針であることはわかります。

2019年は2011年ぶりにまともに利益が出た年となり、配当性向は40%となっています。

上記のとおり、2019年以降、業績も配当も右肩上がりで会社として非常にいい状態にあることが分かります。

特に一番右のグラフで表されている純負債残高は、2019年第1四半期の$3,500m(約3,500億円)から2020年第3四半期には$400m(約400億円)まで削減されており、この2年ほどの間に実質無借金経営と言えるところまで来ています。

上表は配当と自社株買いを合わせた総還元性向の推移を示しています。

2020年にはだいぶ増配したものの、そもそも不安定な業態なこともなり、配当については1%台を超えてくればよしと思って投資すべきかなと思っています。

※バリックゴールドはカナダ籍の会社になりますので、配当には15%の源泉徴収税が課せられます。したがって、米国企業への投資よりも資金効率は若干落ちることになります。

GOLDの株価チャート

1985年2月1日から2021年1月22日までのGOLDの株価チャートです。

リーマンショック前と2012年頃につけた50ドル台半ばが最高値です。

2013年以降の株価の推移は悲惨な状況で、現在は少し値を戻してきているものの、ピーク時の概ね1/3の水準です。

赤:GLD(金価格) 青:GOLD(配当再投資ベース)

上記は2005年1月~2020年12月までの金価格の推移とGOLDのパフォーマンスを比較したものです。

この15年間は金価格が4倍になる一方、GOLDに投資していてもリターンはほぼ得られなかったことになります。

ただし、当然ながら株価と金価格に一定の相関性は確認できますし、短期的にはGOLDが金価格をアウトパフォームする局面もありますので、その辺りを勘案してポートフォリオに組み入れるかどうかを判断することになろうかと思います。

結論:GOLDはNEMと一緒にポートフォリオに組み入れました

GOLDについては、業界首位のNEMとの比較になろうかと思いますが、正直なところ、NEMよりもGOLDを買うべき理由は特に思いつきませんでした

とはいうものの、オール・シーズンズ戦略に基づいた金のエクスポージャーを確保するため、若干の分散効果とインカムゲインを期待し、NEMとともにポートフォリオに組み入れています。

今後も金価格連動型のETF(GLDM)と合わせて、金の目標資産配分である7.5%程度をこれらの3銘柄(GLDM/NEM/GOLD)に振り向けていきたいと思います。

以上、金鉱株のGOLDについての考察でした。

本日も最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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