トマ・ピケティのr>gをどのように理解し、行動に反映すべきか。

初心者向け

少し前に経済学者トマ・ピケティの「21世紀の資本」という本が話題になりました。

この本で述べられている最も重要なことは「r>g」という数式に集約される「資本収益率>経済成長率」という事実です。

本日は、この数式に対する私の考えと、それを踏まえ我々はどのように行動していくべきか、について語ってみたいと思います。

この数式を自分の境遇に対する不満のガス抜きに使ってはダメ

r>gの数式は、資本収益率>経済成長率、つまり労働収入の伸びよりも資本を投下して得られる収入の伸びの方が高いということを表しています。

すでに富めるものがより富んでいくことで格差が拡大していくことを示唆していることから、世の大半を占める富裕層でない人々の間で社会に対する不満を表明する手段として使われがちです。

「私がこんなに一生懸命働いているのに暮らしがよくならないのは、世の中のこういう仕組みのせいだ!お金持ちからもっと税金を取るべきだ!」といった具合です。

でも考えてみてください。

富裕層から税金を取ったところであなたの懐にそのお金が入ってくるわけではないですよね?

それよりどうしたら自分がもっと楽に生活できるようになるかを考えた方が生産的ではないでしょうか。

人生は平等ではありません。皆それぞれの現在地から始めるしかないのです。

すでに資産を持っている人たちを妬み、非難することには何の生産性もありません。

一部のグローバルプレイヤーを除いて先進国の労働者が苦しくなるのは必然

そもそも先進国である日本やアメリカにおいて、特段のスキルを持たない労働者が苦しい環境に追いやられていくことは必然と言えます。

単純労働の分野から、労働市場は徐々にグローバルマーケットに移行していっていますので、大半の労働者の給与水準は徐々に世界の平均給与に平準化されていくからです。

したがって、これまで先進国に生まれただけで高い給料を得られていた先進国の労働者は、格段に給料の安い新興国の労働者と同じ土俵で競い合うことになり、結果として、世界平均であるこれまでよりも低い給料水準に徐々に待遇が落ちていくことになります。

一方、一部のグローバル企業・プレイヤーについては、ビジネスの対象が世界全体に広がっていきますので、従来よりも大きな利益を上げることが可能になり、結果としてより高い給与を得ることが可能になります。

したがって、労働者として生き残るには

  • グローバル市場で戦うことができる高水準の能力を身につける
  • グローバル化の影響を受けづらい市場・業界で戦う

のいずれかの戦略を取ることが賢明といえます。

資本をより多く投下したものが時間の経過とともに富んでいく

とはいうものの、皆が皆、高水準の能力を身につけたり、グローバル化の影響を受けづらい業界で働けるわけではありません。

よって、労働者としてはかつてのような給与面での成長が望めないことを受け入れたうえで、その状況を補完する術を考えなくてはなりません。

その鍵となるのがピケティのr>gです。

この数式は時間の経過とともに資本から得られる収益が労働収入よりも早く成長していくことから、資本を投下すればするほど人的資本と金融資本を合わせた全体の経済効率性が高まっていくことを示しています。

つまり、労働者として得た収入を可能な限り手元に残し、それを資本市場に投下していくことが、経済的に豊かになっていく術ということです。

なので、毎月の給与をなるべく多く手元に残し、それを投資に回していきましょう

「オール・シーズンズ戦略」もしくは株と債券のETFから投資を始めるべし

具体的な投資戦略については、過去記事にて語っていますので、ここでは詳細は割愛させていただきますが、手元にまとまった資金がすでにあり、これから長期投資をしていきたい方は、ベースとなるポートフォリオを「オール・シーズンズ戦略」に準拠する形で作ることをおすすめします。

株30%、債券55%、金7.5%、コモディティ7.5%の比率を目安にポートフォリオを組むとめちゃくちゃパフォーマンスが安定します。

詳しくは下記の記事をご覧ください(私が渾身の力を込めて書いた記事で当ブログで一番読まれています)。

一方、手元にまとまった資金がない方や、全くの初心者の方は、まずは債券と株のETFをひとつずつ購入して投資デビューすることをおすすめします。

この時、債券の比率を60~70%程度にしておくと非常に手堅く運用することが出来るので、慣れるまではこの比率を目安に投資をするといいと思います。

こちらも詳しくは下記記事にて紹介していますので、興味のある方は見てみてください。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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