【初心者向け】株式100%のポートフォリオが抱えるリスク【下落相場への心構え】

初心者向け

世の投資ブログやツイッター等を拝見していると株式100%のポートフォリオを組んでいる方々を多く見かけます。

私は決して株式100%の投資戦略を否定するつもりはありませんが、多くの方が株式100%のポートフォリオが抱えるリスクを理解していないのではないかと思いましたので、本日は株式に資産を全振りするリスクについて語ってみたいと思います。

数%の超過リターンのために2~3倍のリスクを取るか

上記はバンガード社の「成功する投資家になるためのバンガードの4つの基本原則」というレポートに掲載されているグラフを一部加工したものです。

この表では1926~2013年の米国市場を対象に株式と債券の資産配分ごとの最高/最低/平均リターンが示されています。

株式100%は平均・最高リターンともに最高値を記録していますが、それに伴うリスクとして最悪の年には-43.1%と資産の半分近くを吹き飛ばしています

43.1%下がった株価が元に戻るには75%以上の上昇が必要なため、このダメージをリカバリーするには最低でも2-3年かかってしまいます。

一般に下落相場では半年から2年程度かけて株価が下がっていきますので、株価が元に戻るまでの期間を加えると、株式100%の場合、少なく見積もっても3~5年程度は含み損を抱え続けるリスクがあります

一方、オール・シーズンズ戦略に近い資産配分のポートフォリオの場合、平均リターンは株式100%に比べて2-3%程度劣るものの、下落時のダメージを株式100%と比べて30-40%程度まで抑えることができます。

つまり、オール・シーズンズ戦略のような安定的な投資戦略と比較し、株式100%のポートフォリオは数%の超過リターンを得るために約2~3倍ものリスクを取っているということです。

もちろんこの数%が長期ではとてつもない差になりますので、「このリターンが欲しいからリスクを取るんだ!」という方を否定するつもりは一切ありません。

ただ、すでに強気相場が10年以上も続き、コロナショックによる本格的な下落相場が見え始めた今、株式100%のポートフォリオを保有・維持することは、賢明な判断とは言えないと思います。

株式だけでは効果的な分散投資は不可能

前述のグラフは米国市場全体を対象としたものなので、すでに投資銘柄を増やすことによる分散効果は最大限達成されている状態です。

以前別記事にて紹介したとおり、分散投資において最も重要なことは投資対象の相関性です。

詳細はここまで割愛しますが、数百銘柄に投資したところで、それらの相関性が高ければほぼ意味がありません。

そして、残念ながら株式同士は一般に高い相関性を持ちます。

したがって、上述のとおり、株式100%のポートフォリオでも多くの銘柄に投資をすれば、分散投資効果によってリスクを抑えられるという考えは完全に幻想です

このように資産クラスをまたぐことによって得られるはずの分散投資の恩恵を受けられないことは株式全振りポートフォリオの大きなデメリットと言えます。

本当にそのリスクを取る必要があるか考えてみてください

まとめると株式100%のポートフォリオには以下の二つのデメリットがあります。

  • リターンに対するリスク量が大きい(リスク・リターンの比率が悪い)
  • 株式のみでは十分な分散投資効果を得ることが不可能

確かに株だけに投資すれば長い目(最低でも10年~)で見れば、最高のリターンが期待できます。

しかしながら、期待リターンに対するリスク量(リスク・リターン比率≒投資効率)は、債券や他の資産を組み合わせたポートフォリオに劣ります。

さらに言えば、ボラティリティが大きいことから長期に渡って含み損を抱え続ける可能性も十分あります(ただ長期間耐えきることさえ出来ればまず負けません)。

個人的にはリーマンショックやITバブルのような誰の目にも株価の下落が明白で、ニュースでも株価の暴落が連日取り上げられるような状態になるまでは、オール・シーズンズ戦略のような安定的なリターンが期待できる投資戦略を取っておいた方が賢明だと考えています。

いざ暴落したら他の資産に振り向けている資金を株式に移せばいいのです。

皆さんもご自身の投資目的や精神的・経済的なリスク許容度と照らし合わせ、不要なリスクを負ってしまっていないか、今一度見直してみてはいかがでしょうか。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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