2020年1月20日現在、私のポートフォリオの過半を債券ETFが占めています。
ポートフォリオに債券を組み入れていること自体はさほど珍しいことではないと思いますが、おそらくこれほど債券のアロケーションを高めにとっている投資ブロガーはなかなかいないのではないでしょうか。
本日は、債券をポートフォリオに組み入れるに至った経緯や、ポートフォリオの半分以上を債券で保有している理由について、語ってみたいと思います。
債券の要否は投資家のマインドセットとリスク許容度次第
結論から言えば、下記3つの条件に当てはまる投資家については、株式100%のポートフォリオで問題ありません。
- 感情によって行動が左右されない鋼のメンタルを持っている
- 今後10年程度の間に投資資金を引き出す必要がない
- 投資期間を15年以上取ることができる
過去のデータに基づけば、投資期間が15年以上の場合、債券よりも株式の方が低いリスクで高いパフォーマンスが期待できますので、理論的には長期間の投資を考えている人は株式100%で大丈夫です。
ただ、上記の条件のなかで、メンタル面のハードルについては、多くの人がクリア出来ると思っていても、実際には乗り越えることはかなり難しいと私は考えています。
過去10年間、大した下落局面がなかったことから、株式市場が暴落している局面において多額の含み損を抱えながらも資産を保有し続けるだけでなく、同時に追加の資金を投下し続けることの難しさを体感したことがある人は、私の世代から下ではなかなかいないものと思います。
私は株式投資をする人全員が必ず頭に叩き込んで、腹落ちさせておかなければならないことがあると思っています。
それは直近の暴落相場であるリーマンショックを例にとると、2年以上にわたって株価が下がり続け、ボトムではピーク時からの下落幅が60%近くにまで及んでおり、過去にはそれ以上の暴落もあったことから、今後も同様の事態は当然に起きるということです。
この下落率60%というのは生半可なものではありません。
市場全体が60%下落しているので、個別銘柄では80~90%以上も下落する銘柄がゴロゴロある状態です。
この事態が引き起こす精神的ダメージについて、以下の状況を想像してみてください。
あなたが何年もかけて一生懸命節約しながら、大事に大事に育ててきた資産がようやく1,000万円になったとします。
もし苦労を重ねてそこまで至った直後にリーマンショックのような事態が発生すると、そこから2年以上の期間に及び、あなたは資産残高を確認するために、評価額がどんどん目減りしていくことを目にする羽目になります。
そして、最終的には1,000万円あった資産が400万円にまで減少し、しかもその400万円がもうそれ以上減らないという保証もその時点ではありません。
このような絶望的な状況のなかでも、あなたは淡々と資金を投下し続け、どんどん損失が膨らんでいく状況に耐えなくていけないのです。
正直なところ、いくら長期的には株式のみに投資することがベストリターンを得られると頭ではわかっていても、このような事態が自分に与えるストレスと、資産規模が長期に渡って縮小・停滞してしまうリスクを考えると、私はよりダウンサイドリスクを抑えた運用をしたいと考えています。
債券投資が効果を発揮するのは株式相場の下落局面
債券の特長としては以下の2点があげられます。
- 株式との相関性の低さ
- 低いボラティリティ
1.株式との相関性の低さ
投資の基本中の基本である「現代ポートフォリオ理論」において、相関性が低い資産を組み合わせてポートフォリオを構築することで、ポートフォリオ全体のリターンを維持したまま、リスクを抑えることが可能なことが証明されています。
したがって、一義的には債券に期待する要素は株式との相関性の低さ(理想的には逆相関が望ましい)ということになります。
※相関性の低い資産をポートフォリオに加えることの効果については、レイダリオ氏が「投資の聖杯」と呼ぶほどであり、この点については下記記事にて別途解説していますので、興味のある方はこちらもご覧ください。
なお、債券には主に国債と社債がありますが、株式との相関で言えば、国債の方が逆相関性が強いため、理論的には社債よりも国債の方がポートフォリオのリスク低減に貢献してくれるということになります。
ただし、私は優良サイトであるPortfolio Visualizerなどを活用し、あるべきポートフォリオ構成を熟考した結果、長期社債をポートフォリオのベースにしています。
私が主に投資している長期社債ETF「VCLT」についても、別記事にてまとめています。
2.低いボラティリティ
小難しい相関性の話に比べ、こちらは非常に単純です。
債券の値動きは株式に比べて非常に小さいということです。
世の中に絶対はありませんが、債券市場においては、リーマンショック時の株式市場のように60%も相場が下落するような値動きが生じることはまずありません。
私の尊敬するレイダリオ氏は、「株式には債券の3倍のリスクがある」と語っており、したがって、単純に言えば、債券市場におけるリーマンショック級の下落幅は20%ということになります。
私自身はどちらかというと逆相関性よりもこの値動きが小さいという点を評価して、債券に投資をしています。
これの意図するところは、株式相場が大きく下落する局面までは債券の比率を高めに保ち、安定的なキャッシュフローを確保しつつ、いざ大きな下落相場が訪れれば、株式ほどは価格が下落しない(むしろうまくいけば逆相関性によって価格が上昇している)債券を売却し、その資金を株式に振り向けることで、その後、株価が回復していく局面において、大きな利益を上げることを狙うというものです。
投資・運用の世界において、マーケットのタイミングを計ることほど難しいことはないですし、自分が債券と株式の値動きを見ながら、ベストなタイミングで上記のアロケーション変更を行うことは不可能なことは重々承知しています。
しかしながら、少なくともこの株式・債券のリアロケーション戦略によって、下落相場時のダメージを抑えつつ、回復局面のパフォーマンスを少しは改善することができると考えています。
債券比率が高い理由は長期社債の期待リターンとレイ・ダリオの教え
上記の考えに基づき、実際に私のポートフォリオの半分以上は長期社債ETFが占めていますが、これほどまでに債券比率を高めている理由は、以下のふたつです。
- 長期社債自体にそれなりのリターンが期待できる
- レイダリオのオール・シーズンズ戦略の有効性を信じている
一つ目の点については、私が保有している長期社債ETFの配当利回りが取得価格ベースで4%を超えていますので、これを保有している限り、毎月それなりの分配金が口座に入金されてきます。
また、詳細は上記の別記事にて紹介していますが、アセットクラスとしても過去に米国長期社債は魅力的なリターンを記録していることから、債券に投資する際に感じがちな機会損失をあまり感じずに済んでいます。
二つ目の点については、レイダリオが推奨するオール・シーズンズ戦略のモデルポートフォリオでは、中期米国債が15%、長期米国債が40%となっています。
したがって、実際にレイダリオは我々個人投資家にポートフォリオの50%以上を債券で持つことを勧めています。
私の場合には、現状の米国債の利回りが低いことから、上述のPortfolio Visualizerを活用し、中長期米国債をより高いリターンが期待できる長期社債に置き換えたポートフォリオのバックテストとシミュレーションを行いました。
この検討の結果、想定されるボラティリティや最大下落幅が許容範囲内でしたので、機会損失を避けるためにも、私のオリジナル戦略として、オール・シーズンズ戦略の債券部分を大半を長期社債に置き換えて運用していく戦略をとっています。
本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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