グローバル投資の必須アイテムPortfolio Visualizerの使い方①(バックテスト)

初心者向け

本日はPortfolio Visualizerというサイトの使い方について、触れてみたいと思います。

Portfolio Visualizerは英語サイトなのですが、米国市場を活用したグローバル投資を行うにあたって、マストといえる存在です。

しかも、事前登録などは一切必要なく、完全無料で即座に使えるうえに、素人では使いきれないほど豊富な機能があります。

この過去最高に使えるサイトといっても過言ではない「Portfolio Visualizer」につき、本日は語ってみたいと思います。

主な機能のなかで最も簡単に使いこなせるのはバックテスト

Portfolio Visualizerでは、主な機能として下記の6項目があり、それぞれの項目にさらに複数の機能が紐づいているという形になっています。

  • Backtest Portfolio
  • Factor Analysis
  • Asset Analytics
  • Monte Carlo Simulation
  • Portfolio Optimization
  • Timing Models

本日はこのなかで一番使いやすいと思われる「Backtest Portfolio」について見ていきたいと思います。

バックテストとは、特定の資産やポートフォリオの過去のパフォーマンスを確認することを言います。

したがって、その名のとおり、この機能を使えば、購入を検討しているアセットクラスや特定の銘柄の過去のパフォーマンス、及びこれらを組み合わせたポートフォリオレベルの過去のパフォーマンスを確認することが可能です。

これを実際に自分で行おうとすると、とんでもない手間がかかりますが、Portfolio Visualizerではボタンをポチポチするだけで自動で計算してくれます。すごいことです。

それでは実際にPortfolio Visualizerのバックテスト機能を活用するとどのようなことができるのか、見ていきましょう。

バックテストで使うべきは「Backtest Asset Allocation」と「Backtest Portfolio」の2つ

私のような素人がまず使うべきは、「Backtest Asset Allocation」と「Backtest Portfolio」の2項目です(赤丸の項目)。

「Backtest Asset Allocation」では、資産クラスベースでの過去のパフォーマンスを確認できます。

一方、「Backtest Portfolio」では、実在する個別銘柄やETFベースで、バックテストを行うことができます。

文字で説明してもわかりづらいと思いますので、ここからは実際の画面を見ながら解説していきたいと思います。

まずBacktest Portfolioで個別銘柄の過去のパフォーマンスを確認する

もしあなたがすでに具体的な銘柄を保有している、もしくは購入を検討しているのであれば、まず、「Backtest Portfolio」を活用してバックテストを行うことをお勧めします。

さきほどのページで「Backtest Portfolio」をクリックすると、この画面が出てきます。

それでは入力項目をひとつずつ説明していきたいと思います。

  • Time Period…過去のパフォーマンスを年次ベースでみるか、月次ベースでみるかを選択します。上記画面ではYear-to-Yearを選択していますので、年次ベースとなっていますが、もし月次ベースで数字を確認したい場合には、これをMonth-to-Monthに変更すればOKです。
  • Start Year…検証期間の開始をいつにするか決めます。1985年以降の好きな年を選ぶことができます。
  • End Year…検証期間の終わりを決めます。Start Yearと合わせて設定することで、異常なパフォーマンスを記録した期間を除外する、または特定のシチュエーションにおけるパフォーマンスを確認するのに使えます。
  • Initial Amount…初期投資額の設定です。上記では1万ドルになっています。
  • Cashflows…期間中に追加の資金投下を行うか、または定期的な取り崩しを行うかを選べます。上記ではNoneとなっていますので、期中に追加投資や取り崩しは行わない(=初期投資後の資金の出し入れはなし)、という設定になっています。
  • Rebalancing…定期的にリバランスを行うかを決めます。上記ではRebalance annuallyとなっていますので、年に一回リバランスを行う設定としています。
  • Display Income…インカム(配当)を表示するかを決めます。配当金の推移を見たいならYesを選択してください。
  • Reinvest Dividends…配当を再投資するか選びます。Display Incomeの設定をYesにすると出てきます。
  • Benchmark…下記で設定するポートフォリオと別にひとつベンチマークを選ぶことができます。上記ではS&P 500に連動するVanguard 500 Index Investorを選択しています。
  • Portfolio Assets…具体的に過去のパフォーマンスを確認したい銘柄をここで設定します。銘柄・比率を変えたポートフォリオを同時に3つまでバックテストすることができます。

ここでは例として、アップル(AAPL)とマイクロソフト(MSFT)の2銘柄を70:30、30:70、50:50で組み合わせた3つのポートフォリオのバックテストをしてみたいと思います。

バックテストを実行すると下記のような画面に切り替わります。

自分が設定したそれぞれのポートフォリオの構成と、過去のリスク・リターンの数値がPortfolio Returnsとして出てきました。

開始年を1985年に設定しましたが、マイクロソフトのデータが1987年からしかない(1986年3月に上場)ため、検証期間は1987年1月~2019年11月となりました。

なお、私は主にPortfolio Returnsの項目のなかで、CAGR(年平均成長率)、Stdev(標準偏差・ボラティリティ)、Worst Year(最もパフォーマンスが悪かった年のリターン)、Max Drawdown(最大下落幅)を重視して確認しています。

言わずもがな、これらの数字を見ることで、リスク・リターンのバランスを確認することができるからです。

ここまででも十分素晴らしいのですが、Portfolio Visualizerの過去最高たるゆえんはこれらの情報を下記のような見やすいグラフで自動で出力してくれるところにあります。素晴らしいです。

上表は各ポートフォリオの資産額のチャートですね。下にあるLogarithmic scaleとInflation adjustedを選択することで、Log(ログ)をとるか、インフレ率を反映させるか、を選択できます。

ログをとる意味は同じ成長率を同じグラフの傾きで表現できるからです。運用期間が長期に及ぶと、同じ年率10%のリターンでも、リターンの金額が全然変わってきますので、どうしても指数関数的なグラフになってしまいますが、ログをとることでこれを直線に近い形に修正することができます。

インフレ率を反映させる理由は、名目リターンではなく、実質リターンでパフォーマンスを見るためですね。

こちらは各ポートフォリオとベンチマークの各年のリターンです。特に説明は不要かと思います。

こちらは分配金の推移ですね。連続増配銘柄のポートフォリオがいかにパワフルか分かりますね。

配当再投資に伴い元本も成長していることから、配当が指数関数的に伸びていっています。

私も自分のポートフォリオがこのような配当金推移を描くことを目標に運用しています。

検証期間が短くなってしまう場合には「Backtest Asset Allocation」を活用しよう

ちらっと触れましたが、個別銘柄ベースでポートフォリオを検証しようとすると、どうしても期間が短くなってしまうことがあります。

例えば、金をポートフォリオに組み入れたいと考えた場合にステートストリートが提供する金ETFである「GLD」の購入が候補として考えられますが、これを「Backtest Portfolio」で検証しようとすると下記のような結果が出てきてしまいます。

検証期間が2005年1月~2019年11月ですので、ポートフォリオにGLDを追加した段階で、そのポートフォリオのバックテスト可能期間が2005年1月からになってしまいます。

賢明な投資家のみなさんはもう少し長期でのパフォーマンスを検証したいと思われるのではないでしょうか。そこで役立つのが「Backtest Asset Allocation」です。

さきほどの「Backtest Portfolio」と同じ入力画面ですが、こちらは銘柄ではなく、アセットクラスでポートフォリオを作ります。

上記では一例としてGold(金)、US Stock Market(米国株式市場)、Emerging Markets(新興国株)、10-year Treasury(米国10年国債)、REIT(米国REIT)を表示し、ポートフォリオとして金100%を設定してみました。

なお、「Portfolio Asset Allocation」では1972年から期間を設定できまして、今回はしっかりと1972年1月~2019年11月で結果を得ることができました。

資産クラスによっては、1972年からデータがないものもありますが(例えばREITなど)、少なくとも銘柄ベースのバックテストより期間は長くとることができますので、代表的なアセットクラスに連動するETFの購入を検討する場合には、こちらを活用した方がより納得感のある検証を行うことができます。

資産額の伸びや各年のリターンもさきほどと同じ要領で出てきます。

賢明な投資判断にはバックテストが必須

特に各アセットや銘柄の組み合わせによって、安定的なポートフォリオを作ろうという気概のある投資家にとって、これらのツールは非常に強力な援軍になります。

私もベースとなる投資戦略の検討を行っていたころには、毎日Portfolio Visualizerにお世話になっていました。

皆さんにもこのような無料で便利なツールをぜひ活用していただき、より納得感のある投資活動を行っていただければと思い、本日は紹介させていただきました。

Portfolio Visualizerには、このほかにも魅力的な機能がたくさんありますので、追って紹介していきたいと思います。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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