【レイダリオに学ぶ】Cash is Trash! 金融資産ではなく現金を保有することでリスクは回避できるのか?

投資戦略・方針

2020年1月21~24日までスイス・ダボスにて、毎年恒例の世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)が開催されており、世界中のお金持ちやビジネス界を代表する人たちが一堂に会しています。

本家ダリオこと、レイ・ダリオ氏ももちろん参加しているのですが、CNBCとのインタビューのなかで「Cash is trash(現金はごみだ)」と刺激的な発言をしており、英語圏ではすでに盛んに取り上げられています。

本日はレイダリオ氏のこの発言の背後にある考えについて、整理・考察してみました。

増大するマネーサプライによって、現金は価値を失っていく

Cash is Trash. The depreciation of the exchange rate and the printing of money over the next few years is going to be the biggest thing. Cash is not gonna be good.

From CNBC Interview in Davos, Switzerland on 21 January 2020

レイダリオ氏の発言をまとめると、少なくとも今後数年間は増大する財政赤字や社会保障費を賄うために中央銀行が貨幣を刷り続けると予測しており、これに伴い貨幣の価値は希薄化・減退していくことになる、と述べています。

したがって、価値が失われていく現金を保有することは賢い選択でなく、端的に言えば「Cash is Trash」ということになってしまうのです。

個人的にはこの発言はもっともだと思います。

欧州や日本を含む先進国はどこもQE(量的緩和)によって、貨幣を刷り続けており、世界中の法定通貨の価値は実質的には失われていっているのと同時に、各国の中央銀行は金融資産の価格を直接的・間接的に押し上げていっています。

したがって、貨幣と金融資産の期待リターンがどんどん乖離していっており、レイダリオ氏が度々発言しているようにこれが格差の拡大にもつながっています。

単純にインフレ率を見てみても、米国は2017年以降はおおむね2%を上回る水準で推移していますので、毎年貨幣の価値は2%前後失われていっています。

なお、1980~2019年の日米のインフレ率を示す以下のグラフのとおり、日本においても、2013年以降、インフレ状態が維持されており、日本円も価値が減少していっていることに変わりはありません。

出典:世界経済のネタ帳(https://ecodb.net/exec/trans_country.php?d=PCPIPCH&c1=US&c2=JP

また、レイダリオ氏はインタビューのなかで、投資のタイミングを狙っているキャッシュは世の中にはまだ潤沢にある(=まだマーケットは上がる余地がある)し、2020年中に景気後退は訪れないだろう、とも言っています。

金を含むグローバルに分散の効いたポートフォリオを構築すべき

レイダリオ氏曰く、このような状況に対して取るべき対応策は、金を含むグローバルに分散の効いたポートフォリオを構築することです。

彼の主張は一貫しており、オール・シーズンズ戦略に代表されるようにこれこそが市況や時期によらず、常に有効な投資戦略だということでしょう。

具体的に「グローバルに分散の効いたポートフォリオ」をどう構築すべきかは、下記記事にて解説していますので、興味のある方はこちらもご覧ください。

まとめ:現金を保有して安心している人は投資戦略を再考すべき

そもそもなぜ投資・運用をすべきなのか、という話にも通じるところですが、上述のとおり、現金は決して一定の価値を保存してくれるものではありません。

もちろん見かけ上の数字では、銀行預金の残高を一年後に確認したら減っている、というようなことはありませんが、その貨幣の価値は一年前のものとは違うのです。

特に現在のような異常な金融環境が継続される限り、現金を保有するデメリットは、過去に比べて大きく、「自分は現金を貯めこんでいるから大丈夫!」と思っている人は、今一度ご自身の資産状況を確認のうえ、投資戦略を再考された方がいいのではないでしょうか。

基本的に現金を貯めこんでいる人というのは、投資運用の経験に乏しいか、リスク許容度が低いか、のどちらかだと思いますので、そのような方には、上述のオール・シーズンズ戦略のような下落幅を極力抑えるような投資戦略が適していると思います。

私自身も過度な現金を抱え込まないように注意しながら、賢明な運用を心がけていきたいと思います。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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