先日、SBI証券で取り扱いのある米国リートETFについてまとめた記事をアップしました。
上記の記事ではRWR/IYR/XLREと3つのETFを比較しましたが、個人的にはこのなかでRWRの購入を検討しているところですので、今回はRWRに対象を絞って分析・考察した記事をまとめてみました。
そもそもなぜREITに投資をするのか?
私が不動産(REIT)への投資を検討する主な理由は下記の2つです。
- 異なる資産クラスへの投資による分散効果
- 高い分配金利回り
残念ながら現物不動産と比べ、REITは金融市場の影響を強く受けますので、値動きは株式に近くなってしまいますが、それでも原資産である不動産には株式とは異なる値動きと、現物資産としての安定的なパフォーマンスが期待できます。
過去の歴史を振り返っても米国リートはS&P 500に匹敵するリターンを長期間記録している魅力的な資産クラスですので、このアセットクラスをポートフォリオから外す理由はありません。
また、REITは一般的な株式に比べて高い分配金利回りが期待できる点も魅力です。
よって、長期インカム投資家にとって、REIT(特に米国リート)は非常に魅力的な投資対象の一つと言えます。
RWRの基本情報
RWR(Dow Jones U.S. Select REIT Index)に含まれるREITの種類は下記のとおりで、モーゲージREITやインフラ系REIT、またはREIT以外の不動産企業(ディベロッパーやサービスプロバイダーなど)などは含まれていません。
参考までにDow Jones U.S. Select REIT Indexの構成銘柄の要件を記載しておきます。
なお、下記のとおり、インデックスのリバランスは四半期ごととなっており、銘柄の入れ替えは原則リバランスのタイミングで行うこととなっています。
RWRは2001年設定とそれなりに歴史のあるETFですが、運用期間のわりに純資産額は少なめです。
これは主に経費率が0.25%と同種のETFよりも高いことに起因するものと考えられます。
例えば、Charles ShwabがSCHHという同じIndexに連動するETFを2011年1月から運用していますが、こちらは経費率が0.07%で純資産額もRWRの3倍以上あります(ほんとはこっちを買いたい…)。
RWRのセクター比率と上位銘柄
RWRのセクター別構成比は以下のとおりです。
RWRは伝統的なアセットクラスのいわゆる純粋な不動産REITのみで構成されており、個人的には非常に分かりやすいです。
レジが26%というのはディフェンシブな印象ですし、続くIndustrial(物流)も完全なる勝ち組セクターですので、個人的にはこのセクター構成はバランス含め好意的に捉えています。
RWRの構成銘柄の上位20位は以下のとおりです(2020年4月2日時点)。
上位20銘柄で全体のおよそ70%を占めていますが、ここからは全体の25%を占める上位3銘柄について少し詳しく見てみたいと思います。
構成銘柄①:Prologis Inc. (PLD)
プロロジスは物流のトッププレイヤーです(下記情報はいずれも2019年12月31日時点)。
上記のとおり、グローバルに事業を展開しており、特に北米と欧州では業界でも突出した存在感を発揮しています。また、S&P 500の構成銘柄でもあります。
Assets Under Management (AUM・運用資産残高)は12兆円を超えており、信用格付けもA-/A3と問題ないと言えるでしょう。
Eコマースの台頭により、物流業界には過去10年以上に渡って追い風が吹いていますが、この時流に乗ってプロロジスも着実に事業を拡大していっていることが分かります。
過去1~5年間のパフォーマンスもしっかりしていますし、主要顧客としてAmazonをはじめ、DHLやFedEx、BMWなど信用力の高いテナントを抱えていることが分かります。
構成銘柄②:Digital Realty Trust Inc. (DLR)
デジタル・リアルティはデータセンターの大手です。
2016年5月にS&P 500の構成銘柄に加わっており、世界中で267ものデータセンターを保有しています。
信用格付けもプロロジスには劣りますが、投資適格水準を維持しています。
世界のデータセンター大手のなかではEquinixに次ぐ規模を備えており、紛れもないトッププレイヤーと言っていいでしょう。
やはりアメリカの会社で事業展開はだいぶ北米に寄っていますので、これからの欧州・アジアでの事業展開に注目ですね。
上記のとおり、一流IT企業が主要顧客となっています。
2005年から連続増配中で増配率も年平均11.0%と文句のつけようがありません。
構成銘柄③:Public Storage (PSA)
パブリック・ストレージは貸倉庫(Self Storage)の大手です。
米国ではSelf Storageは機関投資家も投資対象とするセクターとして確立されていますが、欧州や日本ではまだ不動産セクターとしての地位は確立されていません。
したがって、米国でSelf Storageの最大手であるパブリック・ストレージが世界最大の貸倉庫企業となっています。
パブリック・ストレージも上述のふたつのREITと同様、S&P 500の構成銘柄となっています。
物件の分布から全米及び欧州にて事業を展開していることが見てとれます。
同業他社との比較で如何に自社が優れているかをアピールしています。
粗利率、貸床面積当たりの粗利、貸床面積の伸びに対する利益の伸び、どれを取っても業界ナンバー1の数字を残しています。
過去10年間、事業効率は確実に改善されてきており、分配金利回りも年平均成長率13.8%を記録しています。
Self Storageというセクター自体が他の伝統的セクターと比較して高い資産収益率を期待できることが分かります。
そして、このセクターのなかでも、パブリック・ストレージは突出したパフォーマンスを記録してきたことが分かります。
RWRのトラックレコードと株価推移
RWRの設定来のパフォーマンスをS&P 500(SPY)と比較してみました。
【2002年1月~2020年3月】
S&P 500の年平均リターン6.63%に対し、RWRの年平均リターンは7.61%で大きくアウトパフォームしていることが分かります。
上述のとおり、暗黒の2000年代を過ごしたS&P 500(赤色)と比べ、抜群のリターンを記録しています。
2020年4月16日時点の株価は77.18ドルで2013~2014年頃の水準で推移しています。
分配金推移を見てみると近年は横ばいからやや漸減傾向となっています。
これは過去に主要セクターとして大きなウェイトを占めていた商業(Retail)がE-commerceの台頭という構造的変化によって、過去数年間大きくパフォーマンスを落としていることも一因と考えられます。
結論:より魅力的なオプションがSBI証券に導入されればスイッチしたい
個人的には既存のポートフォリオとのバランスを考えても、RWRは悪くないチョイスだと考えています。
ただ、同内容でより経費率が低く、規模も大きいETF(SCHHのことです)があることがどうしても引っかかっており、正直に言えばこちらがSBI証券で買えるようになるのを待ちたいところです。
しかしながら、多少の経費率の違いで投資機会を逸することは理に適いませんので、RWRが魅力的な水準まで値を下げれば購入してみたいと思っています。
本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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