最も運用残高が大きい米国高配当株ETFは「VYM」ですが、本日取り上げるのはその兄弟版ETFである「VYMI」です。
VYMIは、VYM同様、期待配当利回りが高い銘柄を組み込むETFで、多銘柄にリスクを分散しつつ、毎年高配当を受け取ることが期待できます。
今後、米国株のパフォーマンスが米国外株に劣後すると予測されているなか、本日は米国外の銘柄を広くカバーするVYMIについてまとめてみました。
※残念ながらSBI証券ではVYMIの取り扱いはなさそうです…
米国外(先進国・新興国)の高配当銘柄を選別したETF
VYMIのベンチマークはFTSE All-World ex US High Dividend Yield Indexですが、こちらは本家VYM同様、今後12ヶ月間の期待配当利回りが高い順に銘柄を並べ、対象とするマーケットの時価総額の50%程度をカバーするように設計されています。
将来のことは誰にも分かりませんが、一応Institutional Brokers’ Estimate System (I/B/E/S)というプロの予測データに基づいて、期待配当利回りを計算していますので、それなりに信用できるやり方なのではないでしょうか。
構成銘柄のレビューとリバランスは年2回、2月と8月のデータに基づき、3月と9月に行われることになっています。
上述のとおり、時価総額ベースで市場の半分をカバーする観点から銘柄数については縛りがなく、組入銘柄数は都度変動することになります。
なお、同じく配当着目型ETFのVIG/VIGIと同様に、REITは投資対象外とされていますので、構成銘柄にREITが含まれることはありません。
VYMIの基本情報
米国外株ETFのうち、運用残高が最大でバイアスのかかっていないVXUSをベンチマークとし、以下のとおり比較してみました。
VYMIの経費率は0.27%とちょっと高めですね。できれば将来的には0.20%以下まで下げていってもらいたいところです。
設定日は2016年2月25日で運用実績は5年弱です。純資産額は2,000億円ほどまでは積み上がってきています。
構成銘柄数は1,000を超えており、十分すぎるほど銘柄数の分散は効いています。
配当利回りは3.2%前後となっており、インカム狙いのETFとしては十分活躍してくれるレベルですが、そこまでめちゃくちゃ利回りが高いわけではないです。
時価ベースで50%ほどをカバーするETFですので、おおむね市場の動きに合わせつつ、上述のI/B/E/Sの予想がそれなりに的中している限りは、毎年増配していってくれそうです。
VYMIの構成比率と上位銘柄
VYMIの国別構成比は以下のとおりです。
香港までの上位11か国で全体の74.7%を占めています。
首位が12.2%の日本なので、日本株には頑張ってもらいたいものです。
次にセクター別構成比をVXUSと並べて見てみましょう。
VYMIのセクター別ではTechnologyが全体の1/3を占め、突出しており、VXUSと比較してもだいぶセクターに偏りがあることが分かります。
2位以降のセクターについては、各々一桁台後半の割合で入っており、ある意味バランスがとれていますが…
あまりないとは思いますが、全世界的にTechnologyセクターがアンダーパフォームする展開になると、VYMIのパフォーマンスにも大きな影響が出てきそうですね。
最後に上位銘柄(トップ10)をVXUSと並べたものです。
台湾セミコンダクター、ノバルティス、トヨタ、ユニリーバなど上位の銘柄は名の知れた大企業が占めています。
上位10銘柄の合計が16%ほどで、11位以下は1%以下のウェイトしかありませんので、銘柄集中リスクは低いと言ってよろしいかと思います。
ちなみにVYMIの上位銘柄の構成比率は以下のとおりです。
- 上位10銘柄:16.0%
- 上位20銘柄:23.2%
- 上位30銘柄:29.5%
- 上位40銘柄:34.7%
- 上位50銘柄:39.1%
- 上位100銘柄:54.2%
上記の数字を見ても銘柄分散はかなり効いていると言えるかと思います。
VYMIの運用実績
VYMIの設定来のパフォーマンスをVXUSと比較してみました。
オレンジがVXUS、青がVYMIで、2016年2月26日~2020年12月18日が対象期間です。
コロナまでは何とかVXUSと互角にやりやっていたのですが、コロナ以降、VYMIが完全に劣後する状態になっています。
上記期間のリターンはVYMIが45.14%、VXUSが65.58%としっかりとアンダーパフォームしております。
年初来チャートと各期間のリターンは以下のとおりです。
過去3年以内の期間では、VYMIはほぼ利益が出ておらず、VXUSにも劣後しておりますが、今後、潮目が変わることがあるのかどうか、注目していきたいと思います。
結論:VIGIの補完としてVYMIも組み入れたい
個人的には米国外株ETFとしてはVIGIを気に入っており、実際にポートフォリオの10%をVIGIに振り向けています。
VYMIは単体で見た場合、近年のパフォーマンスはダメダメで、配当利回りもそこまで突出したレベルにはないため、一見するとパッとしません。
しかしながら、長期的にはアセットクラスやストラテジーごとのパフォーマンスは循環しますし、近年のアンダーパフォーマンスは今後のアウトパフォーマンスへの土台作りとポジティブに捉えることもできます(※根拠はありません)。
VIGIはナイスなETFだと思っていますが、如何せん配当利回りが低いので、銘柄数が多く、配当利回りも3%を超えるVYMIをポートフォリオに組み入れて、米国外株ポートフォリオ内で補完し合うことには一定の合理性があると思っています。
こういった検討の結果、ポートフォリオの5%をVYMIに振り向けておりまして、今後、長期的に保有し、どうなっていくか観察していきたいと思っています。
本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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