【配当3.9%&連続増配49年】レゲット&プラット(LEG)はバネを作っている老舗企業

連続増配株

レゲット&プラット(Ticker: LEG)は、ベッドマットレスのなかのバネなどを作っている米国の老舗企業です。

事業内容は非常に地味ですが、連続増配49年を誇るS&P 500の構成銘柄です。

50年以上連続して増配している銘柄を”Dividend King(配当王)”と言いますが、上述のとおり、同社は49年連続増配中ですので、来年(2021年)にはキングの称号を手にする銘柄です。

LEGは1883年創業のバネを作っている企業

同社はJ.P.レゲットさんが義兄弟であるC.B.プラットさんを誘って一緒に創業した会社です。

1883年にレゲットさんはベッドに使うとナイスな感じになるコアスプリングを発明しており、これが1885年に正式に特許を取っています

同社の創業の地はミズーリ州のCarthageで、現在もLEGの本社は同地にありますが、2018年時点でも人口は15,000人程度と、お世辞にも市場としては大きいとは言えない土地でした。

そこで創業期にはレゲット&パレット兄弟は事業を拡大するために、バネを馬車に大量に積んで周辺都市を回って売りまわっていたようです。

馬車の時代からバネを売り続けているなんてロマンがあります(私だけでしょうか?)。

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上図のとおり、2019年の売上内訳を見ても、ベッド関連部品が46%と半分近くを占めており、ベッドに続くのが18%を占める自動車関連で車の座席に使われる部品なども製造しています。

国別の売上では66%が米国で、欧州11%、中国9%と続いています。

上図はLEGの配当実績ですが、前述のとおり、49年連続増配の実績を誇り、目標配当性向は50%以下に設定されています。

同社の経営姿勢として特徴的なのは、TSR(Total Shareholder Return:株価上昇率+配当利回り)でS&P 500の上位1/3に入ることを目標にしていることで、そのための手段として下記の4点が掲げられています。

  1. 売上高の増加:年6~9%の売上高の成長を目指す
  2. 利益率の改善:魅力的な市場での成長、商品開発、コスト削減、生産性向上により実現
  3.  配当利回り:目標配当性向は50%以下
  4.  自社株買い:利用可能な現金があれば実施

LEGはこの指標をモニタリングするために、単年の成績ではなく、直近3年間の数字をS&Pと比較しています。

上表のとおり、2017~2019年は上位56~76%(つまり平均以下)と苦戦していますが、2014~2016年は上位11~31%に入って目標を達成しており、この水準への回帰が望まれます

なお、LEGは積極的な買収によって成長してきた歴史があり、2000年以降でも上表のとおり、96件もの買収を実行してきています。今後も高い経営目標を達成するための更なる買収が予想されます。

LEGの業績推移(売上・利益)

ここからはLEGの経営状況について、簡単に見てみたいと思います。

まずは近年の業績推移です。※ここからのグラフはMorningstarの情報を基に作成

過去10年ほどを見ると、売上高・営業利益率ともに増加傾向にあります

2019年の売上高は47.5億ドル(約5,000億円)、営業利益・純利益はそれぞれ518百万ドル・334百万ドル(約540億円・約350億円)となっています。

下記は一時要因を除いた2014~2019年の売上高・EBIT・純利益・EPSの推移ですが、この期間は順調に推移しているように見受けられます。

とはいうものの、直近ではコロナの影響を受けまくっており、下表のとおり、特に2020年3~4月にかけては売上が顕著に落ち込みました。

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すでに底は打って回復基調にはあるものの、2020年の業績見通しはまだ発表されていませんので、今後の動向を注視したいと思います。

LEGのEPS(1株当たり利益)と配当の推移

 次にEPS(1株当たり利益)と配当の推移を見てみましょう。

個人的にはCF(濃緑)の安定感がいい感じだなという印象を受けます。

配当性向も2015年以降は48.6~66.7%で推移しており、心地よい水準ですね。

上表は配当と自社株買いを合わせた総還元性向(Total Yield %)の推移を示しています。

2019年から現在にかけては自社株買いが減少したために多少数字が落ちていますが、2013~2018年までは6%前後を維持しており、いい感じの水準と言えると思います。

なお、過去10年間(2010~2019年)の配当実績は以下のとおりです。

  平均配当性向:71.9%

  年平均増配率:4.5%

   累計増配率:1.49倍(2010年: 1.06ドル/株→2019年: 1.58ドル/株)

過去10年で見ると配当性向がやや高めに出ていますが、2015~2019年の配当性向は60%ですので(あくまでコロナ前の状況ですが)配当性向には余裕が感じられる状態となっていました。

LEGのキャッシュフロー(営業CF・資本的支出・フリーCF)

金額的には各年でバラつきはありますが、これを見ると毎年最低でも250百万ドル(約262億円)程度のフリーCFを稼ぐ地力はありそうですね。

創出した現金の使い道については、下記の優先順位が明確に提示されています。

  1. 既存事業の成長に向けた投資
  2. 配当の支払い
  3. 戦略的M&A
  4. 自社株買い

実際に1~3の優先順位でキャッシュを使ったあと、残った資金で自社株買い(紫色)をしていることが下記のグラフからも読み取れます。

過去30年以上に渡り、営業CFの範囲内でCapexと配当を捻出してきており、手堅く経営されていることが分かります。

LEGの株価チャート

1995年1月1日から2020年8月28日までの株価チャートです。

2019年11月に55ドルを超えたのが過去最高値で、現在は41.49ドルとなっています。

90年代後半から2012年までは15~30ドルのボックス圏で推移していましたが、2013年に入って30ドルを突破するとその後は大きく値を上げています。

2020年3月以降、株価はだいぶ回復しましたが、現在の株価水準でも個人的にはリーズナブルな水準だと考えています。

結論:大きな成長は期待できないがその分手堅そうな雰囲気

ベッドのインナースプリングを作るという非常に地味な事業形態からも分かるように、急激な業績の成長は望めないでしょう。

しかしながら、新規参入がほぼ考えられない市場で、コンペティターもほぼ不在というなかでは(今回のコロナのような非常事態を除き)急激な業績の悪化も考えづらいと思います。

コロナの影響で短期的には業績が悪化することは間違いないですが、中長期的には低リスク・ミドルリターンのパフォーマンスを期待したいです。

個人的にこういう地味な業種の銘柄(歯磨き粉のColgateとかティッシュペーパーのKimberly-Clarkなんかもそうです)が好きなので安定増配銘柄として組み入れていきたいです。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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