レイダリオのオール・シーズンズ戦略を実行するのにあたって、最大の障害はコモディティをいかにしてカバーするかでした。
先日、この解決策として、既存のETFのなかで個人的にベストと思われた『GUNR』についてまとめました。
今回は同種のETFで、個人的に二番目によさそうだと思われる『GNR』についてまとめます。
GUNRとほぼ同じポートフォリオを低コストで保有できる
商品価格そのものに連動するポジションを保持することはなかなか難しいため、例えばリスクパリティETFの『RPAR』ではコモディティのエクスポージャーは、コモディティ銘柄(株式)で代替しています。
個人的にも個人投資家がオールシーズンズ戦略を実行しようとするのであれば、同種のアプローチが望ましいと思いますが、その時に力強い味方になってくれるのが、コモディティ・フォーカスのETFです。
先日の記事でも紹介したとおり、このカテゴリーのETFはいくつかありますが、純資産額が最も大きいETFはGUNRで、個人的にもGUNRを最も選好しております。
ただ、GNRはこの3年ほどのパフォーマンスではGUNRを上回っており、経費率もGUNRより低く抑えられています。
詳細は後述しますが、ベンチマークとするインデックスが若干異なりますので、GUNRとGNRでは運用パフォーマンスには若干の差が出てきますが、GNRは運用規模も十分ですし、GUNRではなくこちらを保有するのもありだと思います。
また、税務的な観点から各年ごとに損出し・益出ししながらこの2つを乗り換えていくのもよろしいかと思います。
GNRの基本情報
※構成銘柄数・上位10銘柄比率・純資産・分配金利回りは直近の四半期末である2021年9月末時点の情報です。
GNRの経費率は0.40%です。
先日取り上げたGUNRの経費率が0.46%なので、GUNRと比較すると若干安いですが、そこまで大きな差を生み出すものではないかと思います。
設定日は2010年9月13日ですでに11年超の運用実績があります。
運用期間はGUNRより1年ほど長いです。
純資産額は2,200億円規模で、GUNRの6,000億規模に比べると見劣りするものの、それでも十分な規模を有していると言えると思います。
運用期間・資産規模の両面で特に懸念点はないかと思います。
構成銘柄数は93となっており、これはGUNRは130銘柄超と比べて少なめとなっています。
分配金利回りは直近では3.3%程度となっています。
この数字はGUNRより若干低いですが、ほぼ変わりありませんし、各年のブレ幅が大きい点も同様です。
このETFの特徴はGUNRとほぼ同じです。
投資対象とする各セクター(アグリビジネス、エネルギー、金属・鉱業)に均等投資しつつ、個別銘柄・米国・新興国のそれぞれについて投資比率の上限が設けられています。
1.各セクター(アグリビジネス、エネルギー、金属・鉱業)の30銘柄に投資(合計90銘柄)
2.各セクターへの投資比率は33.3%(均等配分)
3.新興国への投資比率の上限は15%
4.米国への投資比率の上限は40%
5.個別銘柄への投資比率の上限は5%
6.銘柄入替は年1回、リバランスは四半期ごとに実施
個人的には後発のGUNRの方がよりバランスの取れたポートフォリオになるようにインデックスのロジックが構築されているような気がしますが、上記のGNRのポートフォリオでも十分世界のコモディティセクターをバランスよくカバーできると思います。
少なくとも個別銘柄を自分でピックアップしながら、このようにバランスを取って投資することは売買手数料や手間を考えると、ほとんどの投資家にとって費用対効果がよろしくないかと思います。
したがって、GNRのようなETFを活用して投資を行うことは多くの個人投資家にとって、合理的な判断なのではないでしょうか。
GNRのセクター別・国別比率と上位銘柄
2021年9月末時点でのセクター別構成比は以下のとおりです。
上記の構成比を各セクターの定義に基づいて再計算すると以下のようになります。
インデックスの意図するとおり、各セクターに均等に投資されていることが分かります。
2021年9月末時点での国別の構成比率は以下のとおりです。
上述のとおり、米国が40%以内に抑えられつつ、その他の国もかなりバラエティ豊かな組み合わせとなっている印象です。
2021年9月末時点での構成上位銘柄は下記のとおりです。
上位10銘柄で全体の33.13%を占めています。
上述のとおり、各銘柄の比率が5%以内に収まるように運用されつつ、コモディティセクターで名の通った銘柄がバランスよく入っている印象です。
トップ10銘柄のセクター分類は以下のとおりです。
1.Exxon Mobil (エネルギー)
2.Nutrien(アグリビジネス)
3.TotalEnergies(エネルギー)
4.BHP(金属・鉱業)
5.Chevron(エネルギー)
6.BP(エネルギー)
7.Royal Dutch Shell(エネルギー)
8.Glencore( 金属・鉱業 )
9.UPM-Kymmene Oyj(アグリビジネス)
10.Anglo American(金属・鉱業)
GNRのトラックレコードと株価推移
GNRの設定来のパフォーマンスは以下のとおりです。
2021年9月末時点での過去10年間の年率リターンが4.0%程度なので、高いリターンを期待するというよりも分散効果を期待して組み入れることが賢明と思われます。
ちなみに2011年10月1日~2021年10月末までの期間における米国株との相関係数は0.78ですので、GNRにはそれなりの分散効果を期待してもよいかと思います。
※同期間における先進国株・新興国株・GUNRの相関係数はそれぞれ0.86・0.70・0.77
各年のリターンは以下のとおりです。
この10年ほどはそれほどパッとしない結果になっていますが、2016~2017年のように時期がハマれば高いリターンを期待できることも分かります。
設定日から2021年12月3日までの株価推移は以下のとおりです。
オレンジがVT(全世界株ETF)、青がGUNRです。
この期間におけるリターンはやはり思わしくなく、VTが3倍以上になっているにも関わらず、GNRは40%ほどの上昇にとどまっています(VT:+209.55% vs GNR:+39.53%)。
11年間以上ホールドし続けて、この程度のリターンしか得られないのは厳しいものがありますから、やはりGNRは分散効果を期待するサテライト的なポジションで使うのが正解だと思います。
結論:オール・シーズンズ戦略を実行する際の助けにはなりそう
以前取り上げたGUNRとの比較では、個人的にはGNRよりもGUNRの方が好ましいかなと思っています。
GUNRの方が経費率が高いにもかかわらず、実際の運用規模もGUNRがGNRを大きく上回っており、機関投資家もおおむねそういった感じの見方なのではないでしょうか。
そうはいうものの、GNRとGUNRの構成銘柄に大きな差はなく、各期間のパフォーマンスも似通っているため、個人的には冒頭申し上げたとおり、各年ごとにポートフォリオの状況を見ながら、GNRとGUNRを乗り換えていくことでうまく節税できるのではと思ったりもします。
いずれにせよ、GNRは私のような小投資家がオールシーズンズ戦略を実行する際の助けになってくれることは間違いないかと思います。
本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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