【コモディティ】GUNRは全世界のコモディティ銘柄をバランスよくカバーするETF【商品】

オール・シーズンズ戦略

レイダリオのオール・シーズンズ戦略を実行するのにあたって、最大の問題はコモディティをいかにしてカバーするかでした。

個人的にも、これまでポートフォリオのコモディティ部分は、個別株を組み合わせて構成していましたが、2023年に入ってからポートフォリオを組み直す際に、個別株はすべて売却し、今回取り上げる『GUNR』にまとめてみました。

メジャーなコモディティ株ETF (GUNR/GNR/IGE/NANR)

そもそもニッチなカテゴリーであるコモディティセクターの銘柄を広くカバーするETFはあまり多くありません。

ETF.comで、”Equity” & “Natural Resources”でスクリーニングをかけると、下記のリストが出てきます。

出典: https://www.etf.com/etfanalytics/etf-finder

ご覧のとおり、AUM順で一番最初に出てくるのがGUNRですが、個人的には下記のトップ4はいずれも検討に値すると思います。

  1. GUNR
  2. GNR
  3. IGE
  4. NANR

ここでは参考までに各ETFの概要を簡単にまとめています。

1.GUNR

正式名称は『FlexShares Morningstar Global Upstream Natural Resources Index Fund (GUNR)』です。

米国を含む全世界のエネルギー・鉱物・農業・木材・水の各セクターを代表する企業にバランスよく投資することが可能です。

インデックスのコンセプトや過去のパフォーマンスの観点から、個人的に一番好みだったため、今回ポートフォリオに組み込みました。

AUMも大きく流動性の心配は不要だと思っていますが、経費率は0.46%と若干高めです。

詳細はのちほど触れますが、ETF.comに掲載されているETFの概要は以下のとおりです。

出典:https://www.etf.com/GUNR#overview

2.GNR

State Streetが運用する『SPDR S&P Global Natural Resources ETF (GNR) 』です。

GUNR同様、米国を含む全世界をカバーしており、組入銘柄も過去のパフォーマンスもGUNRにかなり近いです。

先行して発足したETFであるGNRのインデックスを改良・調整したインデックスがGUNRのベンチマークとなっているようなイメージですので、必然的にパフォーマンスは近似します。

また、GUNRほどではないものの、運用規模も十分ですし、経費率も0.40%とGUNRより若干安いため、こちらを保有するのもありだと思います。

ETF.comに掲載されているETFの概要は以下のとおりです。

出典:https://www.etf.com/GNR#overview

3.IGE

BlackRockが運用する『iShares North American Natural Resources ETF (IGE) 』です。

IGEのIはiSharesのIだと思いますが、どこからGEが出てきたのかはよく分かりません(Gas & Energyとかでしょうか?)。

全世界の銘柄を対象とするGUNR・GNRとは異なり、IGEとNANRは投資対象エリアが北米(アメリカとカナダ)に限定されています。

なお、IGEは上位4銘柄のなかでは群を抜いて歴史が長く、設定日は2001年10月22日です。

GUNRは2011年9月、GNRは2010年9月、NANRは2015年12月ですから、他のETFの倍近い歴史を持っていることが分かります。

ただ、過去10年間のリターンは、NANRを除く比較可能な3銘柄のうちで最も劣っています。

ETF.comに掲載されているETFの概要は以下のとおりです。

出典:https://www.etf.com/IGE#overview

4.NANR

こちらもState Streetが運用しているETFで、正式名称は『SPDR S&P North American Natural Resources ETF(NANR)』です。

その名のとおり、北米の天然資源関連企業を投資対象としており、ポートフォリオには米国とカナダの企業のみが含まれています。

直近3年のパフォーマンスは4銘柄のなかでは最高で、経費率も最安(0.35%)です。

しかしながら、AUMがGUNRの10分の1ほどで、組入銘柄数が36とかなり少ないため、上位10銘柄が全体の60%を占めていることから、個人的にはあまり活用する機会はないかなと思っています。

出典:https://www.etf.com/NANR#overview

GUNRの基本情報

※直近の四半期末(2022年12月末)時点

GUNRの経費率は0.46%です。

前述の4つのETFのなかでも残念ながらこの数字は最も高いのですが、全世界を投資対象とするETFはだいたいこれくらいの経費率ですので、個人的には許容範囲かなと思っております。

設定日は2011年9月16日ですでに10年超の運用実績があり、純資産額は1兆円弱の規模です。

運用期間・資産規模の両面で特に心配する必要はないレベルかと思います。

構成銘柄数は196となっています。

この数字は各通貨の現金やデリバティブポジションも含んでいるため、純粋な投資対象となっている銘柄数は130銘柄ほどなのですが、それでも十分な数と言えるのではないでしょうか。

昨年はコモディティ銘柄は全体的に好調でしたので、分配金利回りは直近では4.0%程度となっていますが、各年ごとの振れ幅が大きいので安定したインカムは期待しない方がよい気が致します。

このETFの特徴は、投資対象とする各セクター(エネルギー・鉱物・農業・木材・水)に目標配分が設定されていることに加え、個別銘柄・米国・新興国のそれぞれについても投資比率の上限を設けているところです。

1.各セクターの目標配分は、エネルギー・鉱物・農業に30%ずつ、木材・水に5%ずつ

2.新興国株の上限は20%

3.米国株の上限は40%

4.単一銘柄の上限は5%

5.銘柄入替は半年ごと、リバランスは四半期ごとに実施

石油メジャー、資源メジャー、穀物メジャーと言われるように、コモディティセクターでは一部の企業の規模が突出しています(なかでも石油関連企業が特に大きいですね)。

したがって、単純に時価総額ベースで投資すると一部のセクター・銘柄への投資比率が大きくなりすぎることから、本来の意図であるコモディティセクター全体への分散投資を実行することができません。

そこで上記のような制約を設けることでコモディティセクター全体にバランスよく投資できるようにインデックスが設計されており、実際の組入銘柄とバランスを見ても、個人的にもなかなかいい感じだという印象を受けております。

GUNRのセクター別・国別比率と上位銘柄

2022年12月末時点でのGUNRのセクター別構成比は以下のとおりです。

目標資産配分に沿ったナイスなバランスになっていますね。

2022年12月末時点での国別の構成比率は以下のとおりです。

上述のとおり、米国が40%以内に抑えられつつ、その他の国もバランスよく組み込まれている印象です。

2022年12月末時点での構成上位銘柄は下記のとおりです。

上位10銘柄で全体の39.62%を占めています。

上述のとおり、各銘柄の比率が5%以内に収まるように運用されつつ、個人的にも好きな銘柄がバランスよく入っているので好印象です。

2022年12月末時点での時価総額別の内訳は下記のとおりです。

大型株が80%以上を占めるなか、中型株も15%以上入っており、悪くないバランスが致します。

GUNRのトラックレコードと株価推移

GUNRの設定来のパフォーマンスは以下のとおりです。

2022年12月末時点での過去10年間の年率リターンが5%強です。

したがって、通常のインデックスファンド(S&P 500や全世界株)のような高いリターンを期待して組み入れるというよりは、オール・シーズンズ戦略で謳われているように分散効果を期待して組み入れることが賢明と思われます。

なお、2011年10月1日~2023年1月末までの期間におけるS&P 500との相関係数は0.75(同期間における先進国株と新興国株の相関係数は0.87と0.67)となっており、GUNRにはそれなりの分散効果を期待していいと思います。

暦年ごとのリターンは以下のとおりです。

S&P 500や全世界株と比べてもこの10年はそれほど輝いたとは言えない結果になっていますが、2016年や2021年のように、ハマれば高いリターンを出すことがあるのが分かります(これはどんな金融商品もそうですが…)。

2011年9月22日~2023年2月3日までの株価推移(配当除く)は以下のとおりです。

赤線:VT(全世界株ETF)、青線:GUNR

価格推移だけに着目すると、上記のとおり、悲しいくらい差がついています(VT:+132.24% vs GUNR:+35.18%)。

しかし、一般的に資源銘柄は高配当株が多いので、配当込みでのNAVの成長率も比較してみましょう。

配当込みではVT:+183.34% vs GUNR: +86.84%という結果になっています。

どちらにせよ、全世界株には大きく及ばないものの、同じ期間でも配当を考慮するかしないかで、印象が大きく変わりますね。

ここまで見てきたとおり、やはりGUNRは長期的なリターンを期待するというよりは、分散効果を期待してサテライト的なポジションで使うのが正解で、ポートフォリオのコアにはなり得ないのではないかと思います(セクターETF全般に言えることではありますが…)。

結論:オール・シーズンズ戦略における代替手段として使えそう

そもそも論ですが、オール・シーズンズ戦略ではコモディティ価格に連動させるように投資するべきだと言われているため、コモディティ株に投資するGUNRは厳密にはオール・シーズンズ戦略の一部にはなり得ません。

とはいうものの、以前取り上げたRPARという明らかにオール・シーズンズ戦略を意識しているETFでは、コモディティ部分はGUNRのようにコモディティ株に広く分散投資を行うことで代替しています。

ですので、厳密にはオール・シーズンズ戦略とは異なるものの、GUNRのようなETFを活用してコモディティセクターにエクスポージャーを取るのは、個人投資家がオール・シーズンズ戦略っぽく投資する上では有効な手段になり得ると思っています。

私自身も2023年からは、ポートフォリオのコモディティ部分はGUNR一本に集約していきます。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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