【バンガードに学ぶ】適切なリバランスの頻度と基準について【年1回?乖離率5%?】

投資戦略・方針

本日はポートフォリオのリバランスについて、下記のバンガードのレポートを参考にまとめました。

【参考文献】Best practices for portfolio rebalancing – Vanguard research, November 2015 http://www.vanguard.com/pdf/ISGPORE.pdf

理論的には最適なリバランスの方法・頻度は存在しない

Vanguard research has found that there is no optimal frequency or threshold for rebalancing, since risk-adjusted returns do not differ meaningfully from one rebalancing strategy to another.

Best practices for portfolio rebalancing – Vanguard research, November 2015

結論としてはこれがベストというリバランスの頻度や基準はありません

バンガードが1926~2014年を対象期間とし、世界株50%/債券50%のポートフォリオで様々なシミュレーションを行った結果、リバランスの方法によってリスク・リターンのバランスはそれほど変化しないことが判明しているからです。

バンガードは下記3パターンのリバランスにつき、シミュレーションを行っています。

  1. 期間(例:四半期…3か月は何もせず、四半期末に状況に関わらず株50%・債券50%に戻す)
  2. 乖離率(例:乖離率5%…毎日状況をモニタリングし、株/債券の比率が55%を超えたら50%に戻す)
  3. 期間と乖離率(例:年1回/乖離率5%…年に1回ポートフォリオを見直し、株/債券の比率が55%を超えていたら50%に戻す)

もちろん、資産配分が変われば結果も変わってきますし、投資目的やリスク許容度によってどの程度の乖離を許容できるかも変わり、かつ現実的にはリバランスのコストも考慮しないといけません。

ただ上記3パターンを検証したバンガードのバックテストの結果は少なくとも参考にはなると思います。

検証結果①:期間によるリバランス

一度もリバランスしない場合を除き、リバランスの頻度が毎月・四半期・毎年のいずれの場合もリターン・リスクにはほとんど差がありません

個人的にはリターンがほぼ同じことを考えると、ボラティリティが最も低くなっている年1回のリバランスが好みです。

一方、手間とコストを考慮するまでもなく、毎月のリバランスではリターンが最も低いうえにボラティリティも下がっておらず、最も効果に乏しい結果となっています。

したがって、必要以上の頻度でリバランスを行うことは避けた方がよさそうです。

検証結果②:乖離率によるリバランス

こちらは1980~2014年と期間は異なりますが、0%/1%/5%/10%の乖離率を設定し、リバランスした結果をまとめたものです。

この期間を見ると、いずれの場合でもリバランスによって、リターンが高まる一方、リスクが大きく下がっており、リバランスの有効性が確認できます

この結果だけを見ると、リスク・リターンバランスが最もよく、リバランスの回数も23回と、3年に2回程度で済んでいるため、乖離率を5%に設定するのが一番よさそうですね。

検証結果③:期間と乖離率によるリバランス

上記は「①期間によるリバランス」と同じ1926~2014年を対象とした検証結果です。

このなかだと年1回/乖離率5%がリスク・リターンのバランスが最もよく、リバランスも5年に2回程度で済んでいますのでベストプラクティスですね。

なお、「②乖離率によるリバランス」に記載した1980~2014年を対象とした検証結果は以下のとおりです。

悲しいことに頻度を月1にしようが年1にしようが、基準を1%にしようが10%にしようが、ほとんど結果は変わっていませんね。

ただ、「②乖離率によるリバランス」同様、いずれの場合もリバランスによって、リターンが高まる一方、リスクが大きく下がっており、リバランスは基本的にやった方がいいことが分かります。

現実的には年1回&乖離率5%でのリバランスが最適解か

上記の検証結果を踏まえ、バンガードは以下のように結論づけています。

As a result, we conclude that for most broadly diversified stock and bond fund portfolios (assuming reasonable expectations regarding return patterns, average returns, and risk), annual or semiannual monitoring, with rebalancing at 5% thresholds, is likely to produce a reasonable balance between risk control and cost minimization for most investors. Annual rebalancing is likely to be preferred when taxes or substantial time/costs are involved.

Best practices for portfolio rebalancing – Vanguard research, November 2015

「半年か1年ごとにポートフォリオを見直して、目標とする資産配分から5%以上乖離してたらリバランスするといいと思うよ。でも税金と事務手間を考えると、頻度はどちらかと言えば年1回の方がいいかもね」といったところでしょうか。

ありがとう、バンガード。

私も検証結果を見てそう思いましたので、年に1回、5%基準でリバランスさせていただきます。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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