【配当5.7%!】フィリップモリス・インターナショナル(PM)は高配当タバコ銘柄

連続増配株

フィリップモリス・インターナショナル(Ticker: PM)はマールボロに代表されるタバコを世界中で販売しているグローバル企業です。

元々はアルトリア・グループ(Ticker: MO)とひとつの会社でしたが、2008年にMOからスピンオフして以降、MO=米国内、PM=米国外という形で事業を展開しています。

日本でよく見るIQOSもこのフィリップモリスの日本法人が取り扱っています。

他のタバコ会社同様、PMも高配当銘柄として名高く、インカムリターンを重視している投資家にとっては、検討に値する銘柄かと思います。

PMはマールボロを売っている米国発のタバコ最大手

PMは下記のとおり、世界で73,500人もの従業員を抱え、180か国以上に1.5億人の顧客を抱えている世界のタバコ業界のリーディングカンパニーです。

国際的なタバコブランドのTOP15のうち、No.1マールボロを含む6銘柄を販売しています。

会社の方針として、喫煙者たちの健康やESG投資に代表される社会的要請も鑑みて、これまでの紙巻きたばこから煙の出ない商品(smoke-free products)への転換を可及的速やかに実現すべく、会社を挙げて取り組むことが掲げられています(以下原文)。

なお、このスモークフリー分野でのPMの基幹商品が、日本でも圧倒的市場シェアを誇るIQOSです。

下記のとおり、IQOSは2020年7月7日に米食品医薬品局(FDA/U.S. Food and Drug Authority)から電子タバコとして、初めてかつ唯一のリスク低減タバコ製品(Modified Risk Tobacco Product)として認められました

これによって、IQOSは従来の紙巻きタバコとは根本的に異なる商品であり、健康上のリスクも大きく低減されていることに米当局がお墨付きを与えたことになります。

マーケティング上、他の商品と明確に差別化できるポイントが出来たことになりますので、今後の展開にも期待が持てるのではないでしょうか。

とはいうものの、たばこ産業自体は規模縮小に向かっていることは間違いなく、下記のとおり、世界のたばこ市場は過去8年ほど毎年▲1.7~3.2%ずつ縮小していっております。

※上表は国営企業が市場を独占している中国とPMが事業展開していない米国を除く数字です

PMの業績推移(売上・利益)

ここからはPMの経営状況について、簡単に見てみたいと思います。

まずは近年の業績推移です。※ここからのグラフはMorningstarの情報を基に作成

売上高は300億ドル前後(≒3兆円)で、営業利益は100~150億ドル(≒1~1.5兆円)とナイスな水準ですが、近年は営業利益率がやや漸減してきています。

2019年は同業のブリティッシュアメリカンタバコ(BAT)を押さえ、世界の市場シェア(中国除く)では首位になっています

なお、販売量ベースでは7割ほどを新興国で上げていますが、純収益ベースでは先進国と新興国でほぼ半々となっています。

なお、2021年2月4日に発表された2020年通年決算の数字は以下のとおりです。

2020年は米国と中国を除く世界のタバコ販売量がコロナの影響で前年比▲5.8%と大きく落ち込みました。

例年は前年比▲2~3%で推移していますので、今年の販売量は業界にとってかなり厳しい数字でしたが、PMは値上げとコスト削減によって、利幅(Margin)を2.4%押し上げることに成功したため、調整後EPSは前年比+7.0%と順調に伸ばすことに成功しています。

コロナからの回復を見込む2021年は上記のとおり、より一層力強い決算が予想されており、ホルダーとしては来年の決算と増配を楽しみにしています。

2021年のガイダンスの要旨は下記のとおりです。

  • 売上高:+4~7%(2020年比)
  • 営業利益率:1.5%以上の改善(2020年比)
  • 調整後EPS(為替変動考慮前):+9~11%(2020年比)
  • 調整後EPS(為替変動考慮後):+14~16%(2020年比)

PMのEPS(1株当たり利益)と配当の推移

 次にEPS(1株当たり利益)と配当の推移を見てみましょう。

2015年以降は純利益≒フリーCF≒配当となっており、利益を全て配当に回しているような状態ですね。

Payout Ratioも徐々に高まってきてしまっていますが、2017年を除き、100%以内には収まっています。

https://www.morningstar.com/stocks/xnys/pm/dividends

上表は配当と自社株買いを合わせた総還元性向(Total Yield %)の推移を示しています。

2018年は6.73%、2019年は5.43%、現在は6.02%と株価低迷と連続増配により、近年は高配当化しています。

なお、過去10年間(2010~2019年)の配当実績は以下のとおりです。

  平均配当性向:80.7%

  年平均増配率:7.4%

   累計増配率:1.89倍(2010年: 2.44ドル/株→2019年: 4.62ドル/株)

PMのキャッシュフロー(営業CF・資本的支出・フリーCF)

2014年以降、営業CF・フリーCFともに増加傾向です。

個人的には、少なくともタバコ大手の事業そのものが急激に悪化することは考えづらく、当面は潤沢なCFを生み続けてくれるだろうと期待しています。

もちろん配当性向が100%に到達していることから、増配余地は限られており、逆に減配リスクは高まっているわけですが、事業の安定性が高いことから、エネルギー企業のようなドラスティックな減損・減配の可能性は限られていると盲信しています。

PMの株価チャート

2021年1月15日時点での株価チャートです。

https://www.morningstar.com/stocks/xnys/pm/quote

2017年6月に過去最高値の120ドルを超えてからは株価は下落傾向にあり、現在は80.94ドルとなっています。

2012年以降はおおむね75~100ドル圏内で推移しており、75ドルが抵抗線として意識されているような感じでしょうか。

結論:タバコ銘柄内での分散効果と配当の平準化を期待し、一定程度保有したい

私はすでにタバコ銘柄としてBTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)とMO(アルトリア・グループ)を保有しています。

MOが米国専門であることを考えると、米国以外を専門とするPMは地域分散の観点から補完関係にあります。

また、MOとPMは1/4/7/10月に配当を出してくれます

一般的にはETF含め、3/6/9/12月に配当を出す銘柄が多いので、この配当月の違いは毎月の受取配当額を平準化し、モチベーションを保つためにも有用であると考えています。

したがって、タバコ銘柄については、インカムゲイン銘柄としてポートフォリオ全体の5%を目途に組み入れていきたいと思っています。

今後も世の個人投資家の皆様とともに、ナイスな資産形成に取り組んでいきます。本日も最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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