私はレイ・ダリオ氏の推奨する「オール・シーズンズ戦略」を実行するにあたり、コモディティのエクスポージャーを資源銘柄で代替することとしています。
本日は、石油業界において、スーパーメジャーの一角を占めるBP(Ticker: BP)について、分析・考察した結果を記事にまとめてみました。
BPはペルシャの石油開発のために設立された英国の国策会社が起源
BPは1908年に設立されたアングロ・ペルシャン・オイル・カンパニー(Anglo-Persian Oil Company)が基になっています。
William Knox D’Arcyというイギリス人のおじさんがペルシャ(現在のイラン)で油田を掘り当てたことを受け、その権益を買い取るため、 1908年にAnglo-Persian Oil Companyが設立されました。
その後、中東におけるイギリスの所業の一部として、アメリカとも組んでいろんなことをしながら権益を拡大しています。
スーパーメジャーという名が表すとおり、BPは、歴史的にもスタンダード・オイルを起源とするエクソン・モービル、同じく英国を起源とするロイヤルダッチシェルとともに、20世紀中盤までは世界の石油市場を完全に牛耳っていました。
現在では、世界78か国において、7万3千人の従業員を抱えて事業を行っています。
BPの業績推移(売上・利益)
それではBPの財務情報を見ていきましょう。
まずは業績推移です。ここからの出典の記載がないグラフはRDSBのAnnual Reportを基に作成しています。
2010年に歴史に残る大事故がメキシコ湾で発生してしまい、そこからは低空飛行が続いています。
RDSBのEPS(1株当たり利益)と配当の推移
次にRDSBのEPS(1株当たり利益)と配当の推移を見てみましょう。
事故のあった2010年以降、減配せずに配当は出し続けていますが、配当性向が100%を超えている年が多いことが、気になりますね。
上表は配当と自社株買いを合わせた総還元性向の推移を示しています。
株価が低迷していることもありますが、ここ5年間、自社株買いを含め、非常に高い水準の株主還元を実現しています。
配当利回りは基本的に6%台で維持されていますし、過去5年間の総還元率は平均7.00%と非常に魅力的な還元利回りとなっています。
BPのキャッシュフロー(営業CF・資本的支出・フリーCF)
次はBPのキャッシュフローです。
変動幅とCapexの額が大きいのは、業種的にしょうがないですが、ほぼ毎年フリーCFがマイナスになっている点は気にかかりますね。
BPの株価チャート
2020年1月10日時点でのBPの株価チャートです。
2010年の事故で株価が急落して以降、その前の水準には一度も戻せていません。
2010年以来、30~50ドルの間で株価は推移しています。
現在の株価は40ドルを少し下回る水準です。
結論:BPは高株主還元の石油銘柄として今後も要チェック
ここまでいろいろと見てみましたが、個人的には同じ高配当ADRの石油銘柄としては、BPよりもロイヤルダッチシェル(RDSB)の方がいいのではないかと考えています。
とはいうものの、株主還元の水準は極めて高いことから、今後もウォッチリストに入れて、株価動向をチェックしていきたいと思います。
以上、高配当ADR銘柄・石油メジャーのBPについての考察でした。
本日も最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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