【レイダリオに学ぶ】世界恐慌が来る!?コロナショックの先に待つ新たな世界について

投資戦略・方針

本家ダリオことレイダリオ氏が先日TEDに登場し「What coronavirus means for the global economy」というテーマで約52分間のインタビューに応じています。

このなかでレイダリオは『コロナショックによる経済へのダメージは2008年の世界金融危機より遥かに大きく、これから我々は通常の景気後退(Recession)ではなく、深刻な不況(Depression)を迎えることになる』と発言しています。

本日はこのインタビューの内容を踏まえ、これからの世界の行く末について、レイダリオの見解をまとめてみました。

2020年の危機は2008年より遥かに大きい

Ray Dalio: This is bigger than what happened in 2008.

Interviewer: Do you think we are heading into a global depression?

Ray Dalio: Yes. Something like happened in the 1930s.

TED, What coronavirus means for the global economy | Ray Dalio

レイダリオは今回の危機は2008年の世界金融危機よりも大きく、我々は世界恐慌の1930年代と同じような状況に向かっていると述べています。

彼はDepressionの定義として1929~32年に起きた下記のような状況を指しています。

  • 2桁の失業率
  • GDPの10%以上の減少

レイダリオは今まさに我々はこの状況に向かっている最中であり、後述のとおり、これから来る景気後退局面は重大なものであり、株式市場や実体経済がかつての状況を取り戻すまでには長い時間がかかると述べています。

世界恐慌の1930年代に起こったこと

下記のとおり、1929~32年に世界は深刻な不況を迎えました(出典:Wikipedia)。

  • 1929~32年にかけて世界のGDPは約15%減少(2008~09年は1%未満の減少)
  • 米国の失業率は23%に上昇し、一部の国では33%にまで上昇
  • 個人所得・税収・利益・物価は下落し、国際貿易は50%以上減少

当時の各国の1人当たりGDPの推移は以下のとおりです。黒線の米国が如何に悲惨な状態だったかよく分かります。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%81%90%E6%85%8C

この未曾有の事態に対し、当時の各国政府と中央銀行は下記の手段で対処しました。

  • 貨幣の増刷(量的緩和)
  • 政府支出の拡大(財政出動)
  • 政策金利の引き下げ(ゼロ金利政策)

言うまでもなく、これらは現在、世界中で行われている政策そのものです。

これほど当時の経済環境と今日の経済環境はマクロ経済政策の観点で酷似しているのです。

なお、これらの政策が実行された1933年から景気は回復に向かいましたが、以前の株価水準や経済規模を取り戻すには非常に長い時間を要しています。

そして、レイダリオは今回の危機においても直近の株価や経済水準を回復するには長い時間を要するだろうと述べています。

彼によれば、同じような事象は人類の歴史上、何度も起こっており、1930年代の世界恐慌はただの直近の事例に過ぎないとのことです。

2,000兆円規模の世界的な経済的損失を予測

具体的には世界全体で20兆ドル規模の経済的損失をレイダリオは予測しています。

1ドル=100円とすると、20兆ドル=2,000兆円というとてつもない数字です。

この状況を踏まえ、下記のとおり、レイダリオは『我々は不可逆的な方法で経済と金融システムの再構築を行うことになる』と述べています。

We are going to have a giant restructuring.

We are going to restructure our economy and restructure the financial system.

We are not going to go back to the way it was.

TED, What coronavirus means for the global economy | Ray Dalio

個人的にはこの言葉を聞いたときに金本位制から変動相場制への移行を想起しました。

コロナショックをきっかけに、これから我々は現在の貨幣制度を打ち捨て、次の新たな経済・金融・貨幣制度へ移行することになるのかもしれません。

金融機関に端を発した2008年と今回の違い

2008年には金融セクターが発端となったため、各国政府は金融システムを維持するために重要なため金融機関を特定し、それらを救済・存続させることで経済危機に対応しました。

しかし、今回は同様の現象が特定のセクターではなく、あらゆるセクターで同時に発生することになります。

したがって、今回は2008年よりも遥かに状況は複雑であり、救済する側としても非常に難しい判断と対応を迫られることになります。

レイダリオはこのような状況の示す一例として、医療機関を挙げています。

現在の状況は医療機関に多大な負担を強いており、このままだと皆が必要だと分かっているにもかかわらず、医療機関の破産が相次ぐ可能性があるというのです。

これらを踏まえると、繰り返しになりますが、世界はこれから数年をかけて新たな経済・金融体制を後戻りできない形で再構築していくことになる、というのがレイダリオの主張です。

投資家は効果的に分散したポートフォリオを構築すべし

この状況に対して、レイダリオはいつもどおりのアドバイスしかくれていません(苦笑)。

うまく分散したバランスの取れたポートフォリオを構築し、マーケットタイミングは避けなさい』というものです。

具体的にどうすればバランスの取れたポートフォリオを構築できるかには言及がありませんが、資産クラス・国・通貨の分散を図るべきだとレイダリオは述べています。

また、昨今レイダリオは現金と債券に対して非常に否定的な見解を示しています。

よって、個人的にはオール・シーズンズ戦略の資産配分のうち、債券の比率を若干下げ、その他の資産クラス(株式・金・コモディティ)の比率を上げることの有効性を示唆しているのではないかと思っています。

私見:外れてほしい予測だが、ダウンサイドシナリオとして頭に入れておきたい

誰も世界恐慌のような状況が訪れることは望んでいません。

ただ、世界中のあらゆる国が人々の暮らしを守るために、何百兆円ものお金を印刷して配っていることは、個人的には既存通貨の価値と信頼を棄損しているとしか思えず、現在の貨幣制度の限界を感じます。

また、直近の株式市場の動きを見ると、COVID-19は一過性で1年後くらいにはかつての状態に戻ることを織り込んでいるようにも思えますが、そうはならないとレイダリオは述べています。

個人的にはこれから夏にかけて一段の下げを演じてから、その後2~3年で以前の水準まで株価が戻ってくれると最も有難いのですが、おそらくそうはなってくれないのでしょう。

これからもレイダリオの言葉を胸に警戒心をもって賢明な運用を心掛け、その過程を皆様にお見せしていければと思っています。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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