本日は株式投資において期待できるリターンや有効な投資方法について、本家ダリオことレイ・ダリオ氏の過去のインタビューや著書を参考に整理してみました。
グローバルETFと相関性の低い個別株の組み合わせがベスト
結論としては、ETFを活用してグローバルに広く分散を図ったうえで、相関性の低いセクターの個別株を追加していくことがベストと考えられます。
本来は各自の投資目的に応じて、ベストな投資方法は当然変わってくるのですが、これは多くの人がベースとしていい考え方だと思います。
このやり方であれば、ドル建ての実質利回りで長期的に年率5%程度のリターンを確保することができると考えられます。
具体的には私が愛用しているバンガード社であれば、下記のETFを活用することで手軽に世界全体にエクスポージャーを取ることができます。
Ticker | 対象国 |
---|---|
VT | 全世界 |
VTI | 米国 |
VEA | 先進国(米国除く) |
VWO | 新興国 |
特にこだわりのない方はVTを買えばそれだけで全世界をカバーできます。
多少手間をかけてもよく、自分で試行錯誤しながら投資をしたいという方は、VTI/VEA/VWOを好みの比率で買い付けることで、オリジナルのグローバルポートフォリオを作ることもできます。
私自身も上記のETFを活用して株式ポートフォリオのベースを作っていますが、ETFだけでは目標とする配当利回りを確保できないことから、これらのETFに加え、主に高配当ADRを個別に追加していくスタイルをとっています。
1900~2018年の世界各国の株式市場のパフォーマンス
下記グラフは、1900~2018年を対象とした主要国の株式市場の実質利回りを調査したものです。
右からインフレ考慮後のドル建て実質リターンが高い国から並んでいます。
リターンの高かった国から順番に豪州、米国、南アフリカ、NZ、デンマーク、スウェーデン、カナダ、フィンランド、オランダ、スイス、英国、ノルウェー、日本、アイルランドとなっています。
長期的には株式投資の実質利回りは、多くの国において4~6%程度になっていることが分かります。
こちらの表では同期間(1900~2018年)の世界の株式と債券の平均リターンが出ています。
超長期での世界株式の平均リターンは年5.0%です(一方、債券は1.9%)。
したがって、上述のとおり、世界分散投資を実行することで、ドル建てで実質5%程度の利回りが期待できると言えます。
相関が低いマーケットとセクターを理解すべし
現在、世界の株式市場の時価総額の55%程度は米国が占めていますので、世界分散投資においても、米国株が占める割合が高くなっていることが一般的かと思います。
下記では米国株式市場を代表するS&P 500と、各セクターや資産クラスがどの程度相関性があるかが示されています。
さきほどのデータほど長期ではないですが、1990年~2008年までの各セクター・アセットの相関係数がまとめれています。
一番左の列を見てみると、S&P 500に対して、先進国を代表する英国のFTSE100、及び新興国株のEmer. Mktがそれぞれ0.41/0.34という結果になっています。
やはり国際分散投資によって、リスクが低減できることが確認できます。
また、個別セクターでは、Energy/Utilitiesと、石油などのエネルギー産業や、電力などの公益事業がそれぞれ0.53/0.54と比較的マーケット全体との相関性が低いことが分かります。
個別銘柄の選定においては、既存のポートフォリオにおける投資比率が低い国のなかで、こういったセクターの銘柄を追加することが、低相関のアセットをポートフォリオに加えることになるので、リスク軽減に効果を発揮してくれます。
一例として、米国以外に上場する企業では、下記のような企業は候補になるかと思います。
上場市場 | 企業名 | Ticker | セクター |
---|---|---|---|
英国 | ロイヤルダッチシェル | RDSB | 石油・天然ガス |
英国 | ナショナルグリッド | NGG | 公益事業 (電力・ガス) |
豪州 | BHPビリトン | BHP | 鉱業 |
なお、いずれも高配当銘柄として有名ですので、興味のある方は下記もご覧ください。
まとめ:グローバル分散と賢明な個別銘柄の選定が安定的なパフォーマンスを実現する
基本的にはETFで分散を効かせておけば、それで十分なのですが、私のように通常より多くの配当金を受け取りたい等、個別の事情に応じて、個別株をポートフォリオに追加していくことが一般的だと思います。
その際には、各自の投資目的に応じて、上記のとおり、国やセクターの相関性を踏まえた、適切な銘柄選定が望まれます。
分散投資における最も重要な点は投資対象の数を増やすよりも、相関性が低い投資対象をポートフォリオに加える方がリスクが下げられるという点です。
したがって、個人的にはボトムアップ的に魅力的な銘柄を探すよりも、トップダウンで「どの国・セクターの銘柄をポートフォリオに加えることが全体のリスク低減に寄与するのか?」という観点から投資対象の検討をスタートするべきだと考えています。
本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
コメント