【先読みは不可能?】効率的フロンティアの過去検証【10年ごと】

オール・シーズンズ戦略

一般に理想とされる低リスク・高リターンのポートフォリオは、効率的フロンティアで表現されます。

自分のポートフォリオを効率的フロンティア上に位置するように構成し、これにレバレッジをかける(もしくは無リスク資産と組み合わせる)ことで自分の理想とするリスク・リターンのポートフォリオを構築しようとするのが一般的かと思います。

しかし、現実には意図するリスク・リターンで効率的フロンティア上に位置するポートフォリオを構築することは意外と難しいです。

今回は下記の記事を参考に効率的フロンティアについて、過去のデータも見ながら考察してみたいと思います。

The efficient frontier fails the test of time
Like so many simplistic approaches to the financial markets, the Efficient Frontier fails to reflect market reality.

1950~2014年の65年間を対象とした場合

マーコヴィッツ教授が現代ポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory)を1952年に発表し、効率的フロンティアとともに有名な60/40ポートフォリオが世に広がりました。

上記が1950~2014年のS&P 500とBarclays Capital Aggregate Bond Indexをそれぞれ10%刻みで配分したポートフォリオのリスク・リターンを表しています。

○で囲まれている赤丸が60/40ポートフォリオです。

リスクは債券100%のポートフォリオよりも若干高いですが、リターンが6.47%から9.95%に大きく改善しており、ポートフォリオの効率がかなり高まっていることが分かります。

ただ、ここで見落としがちな点としてはこのチャートは65年にも及ぶ超長期を対象に算出されたものであるということです。

実際はここまで長期での運用を想定する人は少ないはずで、現実的には10~20年ほどのスパンで運用した場合に得られる結果の方がより重要だと考えられます。

1950年から10年ごとに区切った効率的フロンティア

上表は1950年から10年ごとに区切った場合の各年代の効率的フロンティアを並べたものです。

真ん中にある灰色の線にオレンジ色の●が組み合わさったものが前述の1950~2014年を対象にした効率的フロンティアです。

これをイメージしながら10年ほど運用すると、実際の結果はかなりブレることがよく分かります。

なかでも特筆すべきは茶色の線の2000~2009年の10年間で、株式のリターンがマイナスだったため、一般にイメージされる効率的フロンティアを上下にひっくり返した形になっています。

株式100%に近づくほどリスクが大きくなるうえにリターンも下がるという地獄のような結果が待っていたわけです。

またオレンジ色の線の1970~1979年の10年間は株式と債券のリターンがほぼ同じだったため、効率的フロンティアが真横に伸びています

この年代においては株式を保有しても債券を保有しても同じようなリターンが得られたわけですが、株式の方がボラティリティが2倍近くありました。

それ以外の年代を見ても同じ株式・債券ミックスに対するリスク・リターン水準が超長期の効率的フロンティアとは大きく異なっており、事前に意図した結果を得ることの困難さが垣間見えます

最小リスクとなる資産配分

各10年ごとにポートフォリオのリスクが最小化される株式・債券の資産配分を表したグラフです。

薄い色(左側)が債券の%、濃い色(右側)が株式の%を示しています。

各年代の数字を下記のとおり表にまとめてみました。

やはりリスクを最小化しにいこうとすると、債券の比率がかなり高くなることが分かります。

1950~2009年までは債券比率を60~100%に維持しておくのが最もリスクを抑えることができたわけです。

が、一方で(期間が短いからかもしれませんが)2010~2014年のように債券40%・株式60%と、株式の比率を高めた方が結果的にボラティリティを抑えられた期間もあります

このバックテストの結果を見ても、やはり事前に意図した結果を得ることの難しさが分かります。

リスク8%となる資産配分

各10年ごとにポートフォリオのリスクが8%になる株式・債券の資産配分を表したグラフです。

薄い色(左側)が債券の%、濃い色(右側)が株式の%を示しています。

このリスク量8%というのは超長期の効率的フロンティアにおける最小リスクの点です。

つまり、前述の効率的フロンティアを見ながら「よし、リスクが8%までに収まるように運用しよう!」と思ったとして、各年代でどのような資産配分にしていけば、当初のプラン(リスク8%)が実現できたかを示しています

こちらは最小リスクを維持する以上に難しいことが分かります。

各年代で債券と株式の比率が大きく変動するとともに、特にボラティリティの高かった1980年代においてはリスク量8%というのは実現不可能だったことが分かります。

所感:過去ではなく将来を見据える重要性

常にリスクを最小化することも、意図したリスクの範囲でリターンを最大化することも、ともに難しい命題であることが分かりました。

バックテストをすれば、誰でも過去に実際に起きた結果に基づいた結果論を述べることはできます。

ただ、重要なのは「過去はこうだったがこれからはどうなるのか?」「結果的に最も報われた投資行動や資産配分が、実際には起こらなかった他の事象の不確実性を踏まえても最も妥当・適切な投資行動だったと言えるのか?」といったことを考え、行動することだと思います。

プロの方々はこういった論点を突き詰めて、投資戦略や日々の行動に反映しているわけですが、私自身にはそこまでの力量も時間もありません。

ただ、なるべく多くの資産クラスや通貨、国や地域に分散投資した方が大きな失敗をする可能性は低いだろうとは信じています

運用資産もドル建て資産だけで3,000万円規模になってきたこともあり、ここからの大失敗は給与所得での埋め合わせが困難になってきます。

したがって、ゆっくりでも確実に資産を増やしながら、可能な限りの入金を継続することで、5~10年後には確実に望んだ結果を得られるようにしたいと考えています。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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