【年初来+32%】ブリッジウォーターの旗艦ファンドが衝撃的なリターンを記録

オール・シーズンズ戦略

レイダリオ氏が創設した世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターでは様々なファンドを運用していますが、そのなかでも旗艦ファンドとされているのがPure Alphaシリーズです。

如何なる経済環境においても安定したパフォーマンスを出すことを志向するAll Weatherシリーズとは対照的に、Pure Alphaシリーズではマクロ分析を基にしたアクティブ運用によって、積極的に超過リターン(=アルファ)を取りに行く戦略を採用しています。

今回、この旗艦ファンドである『Pure Alpha 18% volatility fund』が上半期で+32.2%のリターンを記録した、という興味深い報道がありましたので、まとめてみました。

ピュアアルファは近年の不振から脱却か!?

実はピュアアルファは近年、パフォーマンスが思わしくなく、2021年こそ+8%ほどのリターンを記録しましたが、それまでの10年ほどはリターンが年換算で若干プラスになる程度という惨状でした。

2020年には▲12.6%もの損失を記録したこともあり、長期に亘るパッとしないパフォーマンスに見切りをつけた複数の投資家が資金を引き上げたとも報じられました。

2022年は年初来でS&P 500が20%超の下落を見せるなど、多くの運用者にとって苦しい展開が続いていますが、前述のとおり、ピュアアルファは32%超のリターンを記録し、長年の不振から脱却する兆しを見せています。

株式フォーカスのヘッジファンドが平均して年初来▲5%のリターンとなっていることからも、今年に入ってからのピュアアルファのパフォーマンスが如何に優れているか、お分かりいただけると思います。

欧州株のショートがパフォーマンスを牽引

直近の2022年6月にはブリッジウォーターが欧州株のショートポジションを倍増させ、欧州企業28社に対して合計105億ドル(約1.4兆円)ものショートを仕掛けていることが明らかになっています。

この28社はいずれもEuro Stoxx 50 Index(欧州を代表する50社からなる株価指数)の構成銘柄であり、スポーツメーカーのアディダス、総合化学企業のBASF、ソフトウェア企業のSAP、半導体企業のASML、エネルギー企業のTotalEnergies、ヘルスケア企業のSanofiなどが含まれています。

Euro Stoxx 50が年初来で21%ほど下げるなか、すべてのショートが成功しているわけではなさそうですが、例えば年初来でアディダスは▲41%、BASFは▲42%、SAPは▲36%、ASMLは▲35%となっており、全体としては大きな利益を生んでいることがうかがい知れます。

設定来でのパフォーマンスも年平均11%超に改善

前述のとおり、近年はパフォーマンスが優れなかったピュアアルファですが、実は1991年の設定来でみるとそれでもウォール街で最も優れたファンドのひとつとして認められていました。

2022年の素晴らしいパフォーマンスも加味すると、1991年以来の年平均リターンは11.4%となっています。

この数字は年平均リターン(単純平均)であり、CAGR(年平均成長率)ではないですし、リターンに対するボラティリティや最大下落幅が分からないので、投資対象としての優劣を比較判断することは難しいですが、参考までに同期間のS&P 500の年平均リターンは11.33%、CAGRは10.15%となっています。

自分にできることに集中して取り組んでいきたい

こうしてみると世界最高クラスのヘッジファンドですら、30年という長期になるとS&P 500と同程度のリターンを出すことが精一杯であり、いかに長期で市場平均を上回ることが困難かが分かります。

1,000人以上の極めて知的水準と専門性の高いスタッフを抱えて、ありとあらゆるデータとテクノロジーを駆使して運用しているブリッジウォーターですら、これくらいが限界なわけですから、私のような一個人が長期的にアクティブ運用をしていくことが賢明とは思えません。

したがって、ある意味アクティブ運用の頂点ともいえるピュアアルファの動向は参考程度に見ながらも、私自身は何があってもじわじわ資産が増えていくであろうオールウェザー戦略的な運用を志向して頑張っていきたいと思います。

株式市場の先行きはコロナショック時以来で最も不透明感が高まっておりますが、これからも市況に関係なく資金を投下し続けることで、じわじわと資産規模とキャッシュフローを拡大していきたいと思います。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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