投資ブログ界隈では米国株投資の一強状態です。
なかには米国以外への投資はリターンを下げるだけで意味がない、という趣旨の発言をする方すらいらっしゃいます。
本日は、米国株投資の何がそれほど魅力的なのか、考察してみたいと思います。
米国株投資の魅力(株主主義、軍事力、グローバル展開など)
世間で人気を集める米国株投資ですが、私が考える米国株投資の優れている点について、以下列挙してみました。
- 世界で最も資本主義が徹底されており、株主主義とも言える文化が根付いている
- 圧倒的な軍事力・技術力・金融力により、世界のルールを自分たちの都合の良いように捻じ曲げられる
- 過去において優れたパフォーマンスを残しており、世界中の投資家の信頼も厚いことから、今後も株式市場に資金が流入し、成長することが期待できる
- 米国の通貨が基軸通貨の米ドルなので、米ドルで投資ができ、利益も米ドルで受け取ることができる
- 各業界の世界最大手が多く、大手の米国企業に投資するだけでグローバルなエクスポージャーを確保できる
米国株の魅力①:資本主義の徹底と株主主義的な文化
米国は資本主義の盟主として、ソビエト連邦を代表とする共産主義との戦いを制した歴史があります。
アメリカンドリームという言葉に象徴されるように、資本主義の徹底こそが米国のDNA的な側面があり、したがって、資本家である株主の利益が非常に重視されています。
これは米国市場における連続増配銘柄の数などでも推し量ることができますが、米国企業は日本企業のように「すいません、今年ちょっと決算よくなかったので、減配しますね」といったノリで配当を減らして株主の利益を損ねるようなことは許されません。
日本とは異なり、「企業は株主のもの」ということが本当の意味で広く理解されていますし、実際にその理念に則った行動が多くの企業でとられています。
また、物言う投資家に代表されるように、株主の利益を逸するような経営陣は、投資家から糾弾されます。
したがって、株主として投資をするに際して、最も株主の利益を尊重してくれる国である米国企業の株式に投資をするということは非常に理に適った行動であると言えます。
米国株の魅力②:圧倒的パワーにより、ルールを都合良く変更できる
現代は絶対王政ではありませんので、基本的には憲法や法律といったルールがあり、皆がそれに従い日々生活をしています。
資本市場についても事情は同じですが、ある時は自分にとって有利だったルールも、時間の経過や状況の変化によって、自分にとって好ましくない制約に変わってしまうことがあります。
こういったときに日本人であれば、何とか現状に適応し、再び競争に勝てるよう努力するという発想が一般的と思いますが、実際に一番手っ取り早く競争に勝つ方法はそのルール自体を自分たちの都合のいいものに変えてしまうことです。
現実の世界において、この能力が高いと考えられているのが、米国や西ヨーロッパの先進国です。
彼らが過去数百年において、世界を牽引してきた経験と老獪さを侮ってはいけません。
特に米国は、圧倒的な軍事力・諜報能力とともに、高い科学技術やIT分野の競争力がありますから、時には戦争を含む、ありとあらゆる手段を駆使して自国の優位を保とうとします。
過去、ソビエト連邦や日本を相手に勝利を収めてきたように、中国という今世紀最大の競争相手を叩こうとしている現在もこの流れの延長線上にあると言ってよいでしょう。
米国のこのような行動が世界全体にとって好ましいことかどうかはまた別の話ですが、自分の資金を投下する投資先としては非常に優れている点のひとつであると私は考えています。
米国株の魅力③:過去の優れたパフォーマンスに裏打ちされた成長性
米国株の過去のパフォーマンスがとても優れていることに議論の余地はありません。
特に直近10年間のパフォーマンスは驚異的で、主要インデックスのS&P 500が約3倍になっているくらいですから、個別株で成功した人たちは莫大な利益を得ています。
このことを考えると、巷に米国株の信奉者が溢れていることもうなずけます。
彼らはよほど拙い運用をしていない限りはこの10年間の間に大きな利益を出しているものと思われますので、自信をもって米国株の魅力を語ることができます。
また、米国では今後も人口が中長期的に増加していきますので、日本やヨーロッパ諸国のように人口減少や高齢化がトリガーとなって、国力が減退していくことは少なくとも今後30年間は見込まれません。
これらの要因を踏まえ、世界中の投資家にとって、米国が最も有望な市場のひとつであることはコンセンサスとなっており、圧倒的なマーケットの規模感からも、今後も継続的に米国株式市場には世界中の資金が流入していくことが予想されます。
このような背景から、世間の皆様同様に、私も米国株式市場には今後も良好なパフォーマンスを期待できると考えています。
米国株の魅力④:米ドルで投資できて、米ドルで利益を受け取れる
世界の基軸通貨である米ドルで投資をできて、米ドルで利益を受け取れる点は、個人的には大きなメリットだと思っています。
いかに優れたマーケットや企業であってとしても、仮に投資国の通貨がトルコリラや、南アフリカランドのように、長期的に下落傾向で、価値の安定しない通貨となると、長期投資を志向している私として、二の足を踏んでしまいます。
もちろん、検討した結果、為替リスクに見合うリターンが期待できると判断すれば、これらの新興国通貨での投資を排除するものではありませんが、なるべく価値が棄損せず、実生活でも有用な通貨で投資ができる方が望ましいことは言うまでもありません。
この点、世界中で流通している基軸通貨の米ドルで投資を行え、かつ利益も米ドルで受け取ることが出来る点は大きなメリットだと考えています。
米国株の魅力⑤:米国株に投資するだけでグローバル分散効果が得られる
アメリカを代表する企業はそのまま世界を代表する企業です。
これらの企業は、グローバルに事業を展開していますので、成長性が高い新興国市場の恩恵を受けることができますし、企業によりますが、特定のマーケットへの依存度が低いことが多く、事業としての分散が効いていると考えられます。
したがって、米国株に投資しているからといって、米国という単一国に対してリスクを取っているわけではなく、むしろ実質的にはグローバル市場に対して投資を行っていることになります。
この点は、先進国や新興国のETFや個別株を通じて、分散を図るよりも手間もかかりませんし、管理上も効率がよいため、メリットのひとつであると考えられます。
結論:米国株は魅力たっぷり(だけど米国集中投資ではなく国際分散投資をするのが私の選択)
これまで見てきたように、米国株には魅力的な点が数多くありますし、実際に今後も良好なパフォーマンスを見せてくれると私も信じています。
では有望そうな米国株だけに投資をしていればいいのか、というと私はそうは思っていません。
私の尊敬するレイダリオ氏はこのように語っています。
「世の中の人々の行動は、直近(約10年間)に起きた出来事に大きく影響を受ける。長い(100年単位で)歴史を振り返ると、その行動が正しくないことに気づけるはずだ。過去に同じような事象は必ず起きている。」
過去10年を振り返ると、そこには米国株こそが唯一にして最高のパフォーマンスを出したアセットという厳然たる事実があります。
しかし、これから10年もそうなるでしょうか。
ましてや今後30年以上も投資を続けていく私の投資対象を米国株に絞ることは、正しい選択と言えるのでしょうか。
繰り返しになりますが、私は米国株投資を否定しているわけではありませんし、むしろ今後も良好なパフォーマンスを見せてくれると信じて、米国株へもしっかりと投資をしています。
しかしながら、米国株だけに投資をすることは賢明な選択ではなく、広くグローバルに分散投資をすべきである、と自分の年齢も踏まえ考えている次第です。
このグローバル分散投資についての考え方については、別記事にてまとめていますので、興味がある方はこちらもご覧ください。
本日も最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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