私は巷で人気の米国株への集中投資ではなく、国際分散投資を実践しています。
本日はその判断をするに至った背景と国際分散投資の魅力について語ってみたいと思います。
今後どの国の市場が優れたパフォーマンスを出すかは分からない
私が国際分散投資を行う理由はどの国の株式市場が今後相対的に優れたパフォーマンスを出すかを予測することはできないと考えているからです。
各アセットやマーケットの過去のパフォーマンスを検証する際に重要な点は、対象とする期間によって得られる結果が著しく異なってくるという点です。
このことを将来に向けた投資判断に当てはめると、これから実行する特定銘柄の売買タイミングや保有期間が少しずれるだけで結果に大きな差が出てしまう可能性があるということです。
例えば私は2020年2月に当時のポートフォリオの時価に対して15%超の大きめの追加投資を行いましたが、仮にこれをたった一か月後の2020年3月のコロナショックの底値付近で実行していたら、私の資産は今よりかなり増えていたことになります。
個人投資家がマーケット分析や銘柄選定に活用できるリソース(時間、情報、労力、経験、知力)は日々、市場でしのぎを削っている機関投資家とは比較にすらなりません。
世界を代表する超一流の機関投資家ですら、アクティブ運用において継続的に正しい判断をし続けることは極めて困難ですし、自分がアセット(株式、債券、金など)やマーケット(先進国、新興国など)の選択について、適切な投資判断を継続的に下していくことは不可能だと分かっています。
米国集中投資とは、世界にある無数の投資対象のうち、「米国」の「株式」がこれからの将来においてベストな投資対象になることを想定したアクティブ運用であるともいえます。
米国株の過去30年ほどのパフォーマンスを振り返えると、史上最高のパフォーマンスを記録した1990-99年(年17.6%上昇)のあと、2000-09年にはマイナスのリターンを記録しています。
10年代は90年代に匹敵するパフォーマンスを記録しており、それに続く20年代が00年代と同じようにならないとも限りません。
もしこれから米国株に集中投資を行って、20年代が00年代並みのパフォーマンスに終われば、今後10年間ほとんど資産を増やせないという事態に陥ってしまいます。
国際分散投資の魅力①:米国株
ここからは、国際分散投資の対象となる株式市場(米国、先進国、新興国)がそれぞれ持つ魅力について見ていきたいと思います。
まずは米国株です。
米国株投資の魅力については、別記事にて詳述しておりますので、ここでは詳細は割愛しますが、世間の皆様と同様に、私も米国株式が優良な投資対象であると考えています。
中国の台頭はありますが、アメリカの国力は少なくとも今日においては圧倒的です。
また、世界最高の競争力を持った企業が米国株式市場には多数上場しており、これらの超優良企業を投資対象から外すことは賢明ではないでしょう。
さらに言えば、これらの企業は世界中で事業を行っているため、事業リスクは世界に分散されており、米国株に投資するだけで十分な国際分散投資になるという主張もございます。
株式市場の時価総額から言っても株式ポートフォリオの50-60%程度を米国に割り振ることは自然な選択だと考えています。
国際分散投資の魅力②:先進国株
個人的に先進国株にはいわゆるシーゲル的な魅力(低い成長期待と高配当)があると考えています。
この傾向はバンガード社のETFを見るとよく分かります。
※下表はバンガードとMorningstarのウェブサイトから作成
VTI (米国市場全体) | VEA (米国を除く先進国) | VWO (新興国) | |
Holdings | 4,156 | 4,088 | 5,256 |
PER | 23.3x | 15.0x | 12.5x |
PBR | 3.7x | 1.7x | 2.1x |
Dividend Yield | 1.21% | 3.16% | 2.64% |
Expense Ratio | 0.03% | 0.05% | 0.10% |
PERこそ、新興国株の方が低いものの、配当利回りは3.16%と最も高いことが分かります。
PBRでは、米国市場の半分以下のバリュエーションとなっており、西欧諸国や日本に代表される先進国市場がいかに投資家から期待されていないかがよくわかります。
また、先進国のなかでも英国、豪州、香港に上場している企業については、ADR(米国預託証券)を活用して投資することで、米国やその他の国への投資に比べ、税制面でのメリットを享受することも可能です。
ADRについても、別記事にて解説していますので、興味がある方はこちらもご覧ください。
国際分散投資の魅力③:新興国
個人的に最も好きな市場が新興国市場です。
新興国市場はボラティリティが高く、経済危機時には容易に崩壊するため、安定感の欠片もないのですが、時期がよければ凄まじいパフォーマンスを見せてくれたりするので、ギャンブル感があって好きなのです。
今一度さきほどの一覧表を活用しながら、私が新興国株に魅力を感じている点を簡単に解説したいと思います。
VTI (米国市場全体) | VEA (米国を除く先進国) | VWO (新興国) | |
Holdings | 4,156 | 4,088 | 5,256 |
PER | 23.3x | 15.0x | 12.5x |
PBR | 3.7x | 1.7x | 2.1x |
Dividend Yield | 1.21% | 3.16% | 2.64% |
Expense Ratio | 0.03% | 0.05% | 0.10% |
① 5,000銘柄超への投資による分散効果
投資対象の企業数は3市場のなかで最も多く、その分、高い分散効果が期待できます。米国市場のように上位10銘柄の構成比率が高い点(18.4%)は少し気になりますが、複数国の5,000社以上に投資できる点は、非常に魅力的と考えています。
② 3市場のなかで最も低いPER
少々乱暴ですがざっくりと言えば、新興国市場が最も割安ということです。
個人的にも価格上昇まである程度時間はかかるかもしれませんが、中長期的には新興国株が最も高いリターンを上げると期待して積極的に投資したいと考えています。
③ 十分な配当利回り
新興国株というと、成長企業が多い=インカムゲインは期待できず、キャピタルゲイン狙い、といったイメージを持たれる方も多いかと思いますが、実際には2%台後半から3%程度の、先進国市場と近しい水準の配当利回りが期待できます。
④ 中国とインドに期待している
中国とインドについては、人口規模と人材の質から考えると少なくともどちらかは今世紀中に世界の中心になると思っています。
ジェレミー・シーゲル教授も語っているとおり、21世紀はアジアの時代になる可能性が極めて高く、このふたつの国の企業に対して投資をすることは長期的に見て報われる可能性が高いのではないでしょうか(中国株はこのところけちょんけちょんですが…)。
まとめ:分散投資で安定したリターンを長期的に上げることを目指す
個人的には米国市場のバリュエーションについては、少し高い気がしていますが、これまで見てきたとおり、どの市場にも投資を検討するに値するだけの魅力があると思っています。
分散投資のメリットは、リターンを維持したまま、リスクを下げることが可能な点です。
これからも長期投資家として、グローバルに広く分散投資を行い、その時代ごとに好調な国や市場の恩恵を受けながら、安定的な収益を上げていきたいと考えています。
本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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