【衝撃の減配】配当66%減!ロイヤルダッチシェル(RDS.B)の減配発表と今後の対応について

オール・シーズンズ戦略

私はレイ・ダリオ氏の推奨する「オール・シーズンズ戦略」を実行するにあたり、コモディティのエクスポージャーを資源銘柄で代替することとしています。

石油銘柄ではロイヤルダッチシェル(Ticker: RDS.B)を保有していますが、同社は2020年4月30日に1945年以後で初となる減配(しかも66%減!)を発表しました。

本日はRDS.Bの最新の四半期決算を含め、直近の状況を記事にまとめてみました。

サウジ・ロシアの石油戦争とコロナのダブルパンチで原油価格が崩壊

今年に入って以降、サウジ・ロシアの減産交渉決裂による供給側の悪材料と、新型コロナによる需要面の著しい落ち込みが重なり、原油価格は歴史上はじめてマイナスになるなど、市場は大混乱しました。

出典:https://www.investing.com/commodities/crude-oil-streaming-chart

上記のとおり、4月20~21日にかけてWTI先物はマイナス圏で取引されました(5月28日現在では31ドル程度まで値を戻しています)。

RDS.Bは、エクソンモービル、シェブロン、BPなどと並び、スーパーメジャーと称され、1945年以来、一度も減配がないことを誇りにしていましたが、この状況を受け、2020年4月30日に第二次大戦後初となる減配、しかも66%もの減配を発表しました。

配当水準をリセットし、ここからの累進配当維持を目指す

こちらは2020年4月30日の減配発表に際しての会社コメントの一部抜粋です。

The pace and scale of the societal impact of COVID19 and the resulting deterioration in the macroeconomic and commodity price outlook is unprecedented. The duration of these impacts remains unclear with the expectation that the weaker conditions will likely extend beyond 2020. In response, Shell has taken decisive actions to reduce our spending and position our businesses to compete in the current lower commodity price environment and uncertain demand outlook. The Board of Royal Dutch Shell has taken the decision to reset its dividend to provide financial resilience and further flexibility to manage the uncertainty. Shell is taking the steps necessary to ensure that we are well-positioned for the eventual economic recovery.

Dividend Announcement – Royal Dutch Shell plc first quarter 2020 interim dividend

簡単に言えば、「コロナの影響は前代未聞のレベルで、経済環境と原油価格への悪影響は2020年以降も続きそうなので、財務体制の強化と今後の不測の事態にも対応できるように、配当を下げることにしました。」と言った感じですかね。

今のうちに配当を下げておけば、経済状況が良くなっていった時に(競合より余力がある分)優位に立てるはずという意図も感じます。

出典:https://www.shell.com/investors/financial-reporting/quarterly-results/2020/q1-2020/_jcr_content/par/textimage_copy.stream/1588241302769/ad152aaffbb28f0134ca1a9dcbddefeb8ceb0674/q1-2020-results-webcast-presentation-slides.pdf

上記スライドの3つ目の赤丸で、”Unchanged progressive dividend policy”と明言されているとおり、今後も累進配当政策は堅持し、市況に応じて増配と自社株買いを行っていく旨が表明されています

現在の株価に対する配当利回りは約4%程度ですので、ここをベースに状況を見て徐々に配当を上げていくということです。

配当カットだけで年間1兆円を捻出

Our cash flow from operating activities was strong compared to our industry peers, at $42.2 billion. We distributed more than $25 billion to shareholders: $15.2 billion in dividends, and $10.2 billion in share buybacks.

Shell Annual Report and Accounts 2019

上記はAnnual Report 2019に掲載されているCEOコメントの一部抜粋です。

2019年の配当金額は$15.2bn(約1.6兆円)、2020年第1四半期の配当金(減配前の水準)は$3.5bn(約3,800億円)ですので、66%の配当削減だけで年間1兆円ほどが捻出できる計算になります。

出典:https://www.shell.com/investors/financial-reporting/quarterly-results/2020/q1-2020/_jcr_content/par/textimage_copy.stream/1588241302769/ad152aaffbb28f0134ca1a9dcbddefeb8ceb0674/q1-2020-results-webcast-presentation-slides.pdf

なお、上記スライド黄色部分に記載のとおり、配当削減以外にも、$5.0bn(約5,500億円)の事業投資削減、年間$3-4bn(約3,300~4,400億円)の営業費圧縮、自社株買い停止等の施策を打って頑張るとのことです。

エクソンモービルやBPなどの競合他社は現在に至るまで減配しておらず、基本的にかつかつの状態でも株主還元を維持して頑張っているので、この判断が中長期的にどう効いてくるか、非常に興味深いです。

RDS.Bの業績推移(売上・利益)

ここからは2019年度の決算を反映したRDS.Bの財務情報です。

コロナ前の2019年は2018年に続き、比較的堅調な決算を維持したことが分かります。

RDS.BのEPS(1株当たり利益)と配当の推移

 次にEPS(1株当たり利益)と配当の推移です。

2015~2017年にかけて配当性向は100%を超えていました。

2018年は配当性向66.7%と持ち直したものの、2019年に再び95.4%と持続不可能なラインに迫っており、経営陣はかつての配当水準は持続不可能と判断するに至っています。

出典:https://www.shell.com/investors/financial-reporting/quarterly-results/2020/q1-2020/_jcr_content/par/textimage_copy.stream/1588241302769/ad152aaffbb28f0134ca1a9dcbddefeb8ceb0674/q1-2020-results-webcast-presentation-slides.pdf

上記は今後の原油・ガスの見通しですが、原油価格が40ドルを回復する時期を2021年半ばを想定しています。

今後のエネルギー市況が上記のシナリオと比較してどう動いていくかは、ひとつの指標・判断材料になるかもしれません。

RDS.Bのキャッシュフロー(営業CF・資本的支出・フリーCF)

 次はキャッシュフローです。

下記スライドは、直近の四半期決算である2020年第1四半期のキャッシュフローの内訳を前年同期比で見たものです。

出典:https://www.shell.com/investors/financial-reporting/quarterly-results/2020/q1-2020/_jcr_content/par/textimage_copy.stream/1588241302769/ad152aaffbb28f0134ca1a9dcbddefeb8ceb0674/q1-2020-results-webcast-presentation-slides.pdf

第2四半期では、ここから自社株買い(Share buybacks)がなくなり、配当も大きく削減されつつ、原油価格の下落が反映されてきますので、次回の決算は要注目ですね

RDS.Bの財務指標(Current/Quick Ratio)と自己資本比率

過去10年以上に渡り、自己資本比率は40%台で維持されています。

Current RatioとQuick Ratioについても過去10年間、一定水準が保たれています。

RDS.Bの株価チャート

2020年5月27日時点での株価チャートです。

長期チャートで見てみると現在は1996年以降で最低のところまで落ちていることが分かります。

ロウソク足:RDS.B株価 紫線:WTI原油先物価格

2020年3月以降は出来高も大きく増えています。

配当水準は4%程度まで落ちたものの、ここからの累進配当を前提にホールド

せめて2020年中は以前の配当水準を維持してくれると期待して購入したRDS.Bですが、見事に購入後2回目の配当で減配という結果になりました。

とはいうものの、かつての1/3になった配当はさすがに持続可能なはずで、ここからじわじわと10年くらいは増配していってくれると盲信しております。

私の平均購入単価は現在の株価よりだいぶ上にあるので、コストベースでの配当利回りは3%程度まで下がってしまいましたが、3%の配当利回りもそんなに悪くないので、ここからの累進配当を前提に長期保有しようと思っています。

ただ、目先の数年ではないと思っていますが、もしもう一度累進配当政策を維持できずに減配する時にはキッパリとおさらばさせていただきます。

以上、かつての高配当ADR銘柄・RDS.Bについての考察でした。

本日も最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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