ポートフォリオの分散効果を高めるためには互いの相関が低い銘柄を組み入れることが重要ですが、P&Gやユニリーバに代表される生活必需品セクターは、他のセクターとの相関が低いことが知られています。
生活必需品セクターは、ビジネスの性質上、安定性も高く、長期の連続増配実績を持つ銘柄も多いです。
本日はそんな生活必需品セクターの代表的な銘柄であるユニリーバ(Ticker: UL)についてまとめてみました。
ULの起源はオランダのマーガリン会社と英国の石鹸会社
現在のユニリーバは、1930年にオランダのMargarine UnieとイギリスのLever Brothersが合併したことで誕生しました。
Margarine Unieの方はその名のとおり、マーガリンの生産・販売を主な生業としており、Lever Brothersは主に石鹸などの生活用品の生産・販売を行っていました。
そんな起源を持つULですが、今日では全世界に事業を拡大しており、世界190か国で25億人の人々が同社の製品を日々使っています。
Dove・Lipton・LUX・AXEなどよく目にする商品も同社の製品です。
ULは年平均8%の増配率で38年連続増配中という素晴らしい配当実績を持ち、この点は同社ウェブサイトでも強調されています。ただ、同社の配当はユーロ建てなので、ADRとしてドル換算で見ると多少増減があります。
事業部門は下記の3つに分かれており、売上・利益ともに①Beauty & Personal Careの占める割合が最も高くなっています。
- Beauty & Personal Care(Dove・LUX・AXEなど)
- Foods & Refreshment(Ben & Jerry’sやLiptonなど)
- Home Care(洗剤など)
ULの業績推移(売上・利益)
まずは近年の業績推移です。ここからのグラフはMorningstarの情報を基に作成しています。
各事業部門と地域ごとの売上・営業利益の構成比推移も記載しておきます。
<売上高>
<営業利益>
売上・営業利益ともに、部門としてはBeauty & Personal Care、地域としてはAsia/AMET/RUB(南北アメリカ、欧州以外)の比重が高まってきています。
ULのEPS(1株当たり利益)と配当の推移
次にEPS(1株当たり利益)と配当の推移を見てみましょう。
一株配当は2010年の0.86ユーロから2019年には1.60ユーロと1.86倍になっており、年平均成長率に換算すると7.1%というナイスな数字です。
配当性向は基本的に60~70%で維持されており、しばらくは安定的に配当を出してくれそうですね。
上表は配当と自社株買いを合わせた総還元性向の推移を示しています。
過去5年間の平均配当利回りが3.06%なので、現在の3.5%近い利回りは多少割安感があります。
配当と別に自社株買いもほぼ毎年行っていますので、過去5年間の平均総還元率は4.91%となっています。
ULのキャッシュフロー(営業CF・資本的支出・フリーCF)
安定的かつじわじわとした成長性が感じられる気持ち良いキャッシュフローですね。
支払い配当総額とフリーCFを比較しても特に2019年はだいぶバッファーがあります。
ULの財務指標(Current/Quick Ratio)と自己資本比率
自己資本比率は減少傾向ですね。
Current/Quick Ratioについては、2017年から2018~2019年にかけての売掛金や現金等価物の伸びと、おそらく借換が要因と思われる短期負債の減少(長期負債はほぼ同額増加)によって、特にQuick Ratioが改善されています。
ULの株価チャート
2020年5月8日時点での株価チャートです。
直近で多少値を落としていますが、1972年6月末から現在までで株価は46.8倍になっています。
リーマンショック時に17ドル台まで下落しましたが、その後は綺麗な右肩上がりで、2019年9月に過去最高値の64ドル台をつけています。
現在の株価は52ドルを少し下回る水準です。
結論:ULは長期保有してみたくなる優良銘柄
生活必需品セクターの企業としてはP&Gの方がメジャーだと思いますが、P&Gの現在の配当利回りは3%を切っていることと、UL自体も安定感のある業績推移を見せていることから、ULは十分検討に値する優良銘柄だと私は考えています。
このセクターの個別銘柄は保有していませんし、長期保有すれば将来的に取得価格ベースでかなりの利回りが期待できることもありますので、今後も株価動向を確認しつつ、タイミングを見て買い付けていきたいと思います。
以上、生活必需品セクターのグローバル企業・ULについてでした。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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