本日は世にある高配当ETFのなかでも、特に著名な「PFF」について、分析・考察したいと思います。
PFFは優先株を主な投資対象とする高配当ETF
インカム重視の投資家の間で人気のPFFは、優先株を主な投資対象とする債券ETFで、直近12か月の分配金利回りは5.32%です。
優先株については、野村證券HPにて、簡潔かつ網羅的に説明されていましたので、下記ご参照ください。
優先株は、普通株式に対しては、優先的な位置づけではあるものの、債権には劣後します。
一般的には毎年、定額・定率の配当が受けられる権利を有するものの、普通株式のような議決権がないことが多いです。
議決権については、ETF経由で株式を保有した段階で行使することが出来ませんので、個人的にはデメリットとは考えていません。
ポートフォリオの概要(組入銘柄、利回り、経費率など)
上述のとおり、直近12か月の分配金利回りは5.32%で、経費率は0.46%です。
ハイイールド債ETFのJNK同様、利回り・経費率ともに高めですね。
個人的には0.46%という経費率は本来は受け入れがたいのですが、マーケットで同等程度のインカムゲインが期待できる商品の相場が0.4%以上になってしまっていますので、泣く泣く受け入れております。
組入銘柄数は、485とかなり分散を意識していることが分かりますが、後述のとおり、構成上位10銘柄の比率は銘柄数からすると比較的高めになっています。
また、設定日は2007年3月26日ですので、リーマンショック前から運用が開始されていることから、過去の値動きをベースにリスクを想定しやすい点はメリットと言えます。
上記は発行体の業種別構成ですが、BankとDiversified Financialsという金融機関でおよそ45%が占められています。
その後、Utilities(公益事業)、Real Estate(不動産)と続き、金融関連と合わせた実質3業種で全体の7割を占めています。
組み入れ比率上位10銘柄は以下のとおりです。
上位10銘柄が全体に占める割合は14%程度と、485銘柄も組み入れている割には高いですね。
ただ、発行体は大手金融機関のWells Fargo, Bank of America, Citi Group, JP Morgan Chaseなど、クレジットの高い企業になっていますので、平時においては特に心配する必要はなさそうです。
過去のパフォーマンス(リターン、株価・分配金推移など)
PFFの設定来の株価推移は以下のとおりです。
リーマンショック時に、株価が45ドルから15ドルまで真っ逆さまに落ちてしまっていますが、この時期を除けば、過去10年間に渡り、概ね35~40ドルという非常に狭いレンジのなかで推移しています。
高い利回りのわりにキャピタルロスがないので、配当再投資による高いパフォーマンスが期待できる高配当株の特長を備えていることが分かります。
こちらは分配金の推移です。分配金は減少傾向にあります。
過去10年間のリターンは、ベンチマークの7.27%に対して、PFFは6.52%となっています。
すでに見たように、利回りが高めで値崩れもしていないので、パフォーマンスはそれなりによいです。
そして、高めの経費率にしてはそれほどベンチマークに対するラグがない印象です(特にJNKと比較すると顕著です)。
結論:ポートフォリオ全体のDiversificationと利回りの向上を狙い、一定額を組み入れる
私の債券ポートフォリオの大半は、投資適格の長期社債ETFが占めています。
PFFは優先株を主な投資対象としており、普通株とも債券とも異なるアセットクラスであることから、ポートフォリオ全体のDiversificationと利回りの向上を意図し、適度に組み入れておこうと思います。
具体的な数字にこだわるつもりは特にありませんが、感覚的には現状のポートフォリオの構成を考えると、7~8%程度を上限とすべきかなと思っています。
個人的には同程度の分配金利回りが期待できるJNKよりは、PFFの方が好みです。
本日も最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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