【インフレヘッジ】高インフレ期の投資戦略と一般に推奨される投資対象について

オール・シーズンズ戦略

米国の高インフレが世間を賑わせています。

米CPI、11月は前年比6.8%上昇 39年ぶりの高い伸び

この高インフレが一時的なものなのか、今後もある程度の期間続くのかは皆様の見解が分かれるところかと思いますが、いずれにせよ、この水準のインフレは一部のベテラン投資家を除き、現役投資家のほとんどが実際に経験したことのないことは間違いないかと思います。

今回は一般的に高インフレ期に投資が望ましいとされる資産についてまとめてみました。

株式、TIPS、金、不動産、コモディティあたりが一般的な推奨資産

高インフレ期には平時では安全資産とされる現金の保有が忌避されます

現金は時間の経過とともにインフレによって購買力を失うため、負けが確定しているというわけです。

では現金を避けてどこに資金を振り向ければよいのかというと一般的には下記の資産が推奨されることが多いです。

① 株式

② TIPS(物価連動国債)

③ 金(ゴールド)

④ 不動産

⑤ コモディティ

株式:バリュー株や非景気循環株に注目!?

教科書的な考えに基づけばインフレ率の上昇は割引率の上昇を招くため、遠い将来の期待収益が株価の源泉になっているグロース株には厳しい展開になります。

逆に言えば、投資家や企業自身が目先のCFを期待できるバリュー株や、景気循環の影響を受けにくい非景気循環株などは相対的によいパフォーマンスが期待できるとされます。

とは言え、バリュー株や非景気循環銘柄も割引率上昇の悪影響は受けるわけですので、当該企業に物価上昇をどこまで価格転嫁できる力があるかが大事(=クオリティ重視)という主張がなされることもあります。

歴史を振り返ると中長期では株式はインフレに対するヘッジとして完璧に機能してきていますので、個人的には株式については高インフレだからと言って特に変わったことはせず、いつも通り広く分散した形での投資を継続しておけばよいかなと思っています。

TIPS:債券では物価連動国債がインフレヘッジとして機能する

確定利付債券(通常の債券)は現金と並びインフレに弱いものの典型です。

将来のCFが確定している一方、高インフレ期には割引率や金利が上昇するので、価値が棄損されてしまうからです。

この通常の債券の弱点を補う存在がTIPS(物価連動国債)です。

通常の債券が将来の名目リターンを保証してくれる一方、TIPSは将来の実質リターンを保証してくれる存在です。

債券投資において、確定利付債券とTIPSの両方を保有することでデフレとインフレの両方に備えるような形をとることも一般的かと思います。

それ以外ではデュレーションが短めで(=金利変動への価格感応度が低い)、利回りが高い(=目先のCFが大きい)高利回り債(ジャンク債)も高インフレ下での投資対象として名前が挙がります

ゴールド:ETFを活用してエクスポージャーを取る

物理的な供給量が限定されており、数千年に及ぶ時の試練に耐えてきたゴールドもインフレヘッジの代名詞のように語られることがあります

これは70~80年代の高インフレ期においてゴールドが素晴らしいパフォーマンスを見せたことがひとつの根拠となっているかと思います。

黄:ゴールド価格 赤:インフレ率

最近ではインフレ率と金価格の相関性は失われていっていると主張する説もありますが、それでも金本位制の崩壊以降、ゴールドは長く低迷する時期もあったものの、株式に匹敵するリターンを生んでいます

個人的にもこういった古典的な投資対象が好きなこともあり、インフレ云々にかかわらず、これからもゴールドは一定程度ポートフォリオに組み入れていきたいと考えています。

不動産:REITへの投資が最も容易な投資手段

現物資産の代名詞ともいえる不動産もインフレヘッジとして名前が挙がる存在です。

金額規模や手間、求められる専門性等を考慮すると多くの人にとって投資目的で現物不動産を購入することはハードルが高いため、ETFなどを活用してREIT(不動産投資信託)に投資することが一般的には望ましいかと思います。

米国に限って言えば、REITも株式と同等のリターンを生んできたアセットクラスであり、賃料もCPIに連動するように設定されていることも多いため、様々な観点から見てインフレヘッジとして機能し得る有力な投資対象と言えるかと思います。

個人的にも米国REITのVNQ、全世界REIT(除く米国)のVNQIを組み合わせて全世界の不動産セクターにエクスポージャーを取っていますので、これを継続していきたいと考えています。

コモディティ:資源株への投資が現実的か

一般にコモディティ価格もインフレ時には堅調に推移すると言われています。

コモディティ価格は独自要因(生産状況、需給、天候等)で変動することから、株式や債券等の伝統資産との相関が低い傾向があり、分散効果も期待できますが、ボラティリティが大きく、下落時の下げ幅も大きい点は留意する必要があるかと思います。

ゴールドETFのようにコモディティ価格に連動する投資商品や先物市場を利用しての投資もありだと思いますが、コモディティセクターの投資対象が多岐にわたります(鉱物なら銅・鉄鉱石・レアメタルなど、農作物なら穀物・食肉・砂糖など、エネルギーなら石油や天然ガスなど)。

したがって、コモディティ全体に広く分散投資することは多大な労力を要することから、代わりにコモディティ価格上昇から恩恵を受ける株式に投資をする手法も広く用いられています

個人的には各セクター(エネルギー・鉱物・農業)の大手企業のみを選別して投資していますが、本来はGUNRのようなETFを活用してエクスポージャーを取る方が望ましいのだろうとは思っています。

未知の状況は経験値を上げる良い機会

株式市場の大幅下落を初めて経験することができた2020年3月のコロナショックのように、新たな経験は投資家として成長するために必要不可欠なものだと思っています。

現在の高インフレはおよそ40年ぶりの話ですが、40年前とは資本市場の規模や構造も大きく変わっているので、ある意味どの投資家にとっても新しい状況と言えます。

個人的にはこのようなある種のセオリーを頭に入れつつも、将来のことは誰にもわからないという前提に立って、広く分散したポートフォリオを低コストで長期保有することに集中していきたいと思っています。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました