【レイダリオに学ぶ】ビットコインについての考え方【暗号資産・仮想通貨】

投資戦略・方針

本家ダリオことレイダリオ氏が1月28日付で自社HPに「Our Thoughts on Bitcoin」というタイトルの記事を公開しています。

ダリオ氏はこの記事のなかで「自分は暗号資産の専門家ではないので、自身の考えに基づいて投資判断はしないし、みんなにもそうしてほしくない」と前置きしつつ、自身のビットコインをはじめとする暗号資産への考えを明らかにしています。

本日はBridgewater Associates HPの元記事(下記リンク)を参考にレイダリオの見解をまとめてみました。

Our Thoughts on Bitcoin
With bond yields near zero and pressure on policy makers to diminish the value of fiat currencies, investors are increasingly looking for alternative storeholds...

※ここから先ではレイダリオ自身の表現に合わせ、『ビットコイン』という単語はビットコイン以外の暗号資産も含めた、暗号資産の総称として使います。

ビットコインは素晴らしい発明

まず、レイダリオは「Bitcoin is one hell of an invention」という表現を用いて、ビットコインが凄い発明であると述べたのち、特に下記の点からビットコインは驚くべきことを成し遂げていると述べます。

  1. コンピューターにプログラムされたシステム上の新たなマネーを発明したこと
  2. 新たに生み出されたシステムが10年以上に渡り機能し続けていること
  3. 新たな通貨もしくは価値の貯蔵手段として近年急速に広まりつつあること

これは現代の信用に基づいた貨幣制度(不換紙幣)同様、ある種の錬金術に近く、中世に信用創造が発達するなかで銀行家が巨万の富を築いたように、この新たな仕組み(=ビットコイン)に早くから入り込んだ(=投資した)人たちは大きく報われているとレイダリオは述べています。

また、これまでになかった新たなお金(=ビットコイン)を創造するという偉業を実現した人たちは、その後もその夢を弾けさせることなく、逆に膨らませ続けるという、これまた困難な所業を成し遂げてきており、この成功によってビットコインはゴールドに近いタイプのオルタナティブ資産としての地位も手に入れつつあります

ゴールドのようなオルタナ資産は多くない

現在のような前例のない負債と通貨の創造(量的緩和と財政出動)を前に、世の投資家たちは供給が限られ、かつ私的所有が可能な価値の貯蔵手段をより一層求めています。

ほぼ無制限とも言える規模で新規供給される法定通貨は価値が希釈されていくからです。

そういったなかで例えばゴールドは私的所有が可能かつ、供給量に限りがあるため、投資家の興味を惹き得るわけですが、逆にゴールド単体では投資家側の総需要に対して、市場規模が相対的に小さいため、そこにビットコインが入り込む(=投資家の溢れた需要の一部を引き受ける)余地があるとレイダリオは述べています。

ビットコインについて言えば、レイダリオは投機的過ぎていつまで存在し続けるか分からないものから、おそらく今後も存在し続け、将来も一定の価値を持つ存在とみなしてもいいところまで辿り着いたように思われると述べています。

ただ、レイダリオ曰く、ビットコインに対する大きな疑問は「現実的に何に使えるのか?将来の需要はどの程度あるのか?」の2点だと言います。

ビットコインは供給量が決まっていますから、将来の価値(=価格)を予測するには将来の需要を把握しなければいけないというわけです。

将来ビットコインよりも優れた暗号資産が現れる

ビットコイン自体の供給量には限りがあるものの、暗号資産全体では新たなものが日々開発され、市場に現れるため、ビットコインの価格を予測するには、他の競合となる暗号資産の動向も無視するわけにはいきません

レイダリオはこの点について、将来ビットコインよりも優れた暗号資産が現れ、ビットコインに取って代わるだろうと述べています。

現代のスマートフォンの走りだったblackberryがその後、後発の端末たちに完全に駆逐されたのと同様、これが物事が進化していく時の常だと言うことです。

後発のより優れたものに取って代わられることはビットコインの最大のリスクのひとつで、したがって、ビットコイン自体の供給が限られることはあまり参考にならないのではないかとも考えられます。

サイバーリスクは無視できない

レイダリオはビットコインが10年間という時の試練に耐えてきたこと、その間ハッキングなどの技術的な問題が発生していないことを大いに称賛しています。

しかしながら、国防総省ですらハッキングを防ぐことができない時代において、サイバーリスクは無視することは出来ないとも述べています。

デジタル化が進んだ世の中において、このサイバーリスクの観点からは、ゴールドのような資産に優位性があり、逆にすべての金融資産はこのリスクに晒されていると言えるわけです。

レイダリオは将来、ほぼすべての金融資産がデジタル化されている世の中において、現在考えられているよりもシステムが脆弱であることが明らかになる日が来る可能性は大いにあると述べています。

個人的にはレイダリオのこの発言を否定する気はありませんが、このリスクまでカバーしようとなるとタンス預金的な事を始めないといけなくなるので、今の段階ではこのリスクは一旦飲み込んでおこうと思っています。

政府の介入こそが最大のリスク

ビットコインがデジタル化されていますが、このことはどのレベルで私的所有が可能か、また各国政府がどの程度のプライバシーをビットコインに認めるか、という問題につながっていきます。

レイダリオはビットコインは詰まるところ、公的な帳簿制度であり、かなりの部分が非私的な形で所有されていると指摘しており、もし政府やハッカーが誰がどれだけのビットコインを保有しているかを確認しようとした場合、その情報(プライバシー)が守られるかは疑問だと述べています。

さらに言えば、より切実な問題として、仮に各国政府がビットコインの使用を禁止する方向で動いた場合、ほとんどのビットコイン所有者はその使用が困難になるため、需要は大きく落ち込むと考えられます。

上記の2つのリスク(政府によるプライバシー侵害、ビットコインの使用制限)はビットコインが成功すればするほど、実行に移される可能性が高まります

1694年に世界初の中央銀行であるイングランド銀行が設立されて以来、各国中央銀行は自国の領域内でおいて、自らが発行する通貨を唯一の通貨として保護してきました。

レイダリオは彼らのこれまでの言動も考えても、ビットコイン(やゴールドなど)が彼らが管理する法定通貨以上に優れた存在になることを容認することは考えられず、ビットコインが広く普及すればするほど政府はビットコインを潰そうとするだろうと述べています。

80%の損失を想定できる金額ならベット可能

ビットコインは今後も長期的に存在し得るで供給量にも制限がある魅力的な投資対象ですが、これまで述べたような理由から長期的な供給量を予測することは極めて困難です。

しかしながら、レイダリオ率いるブリッジウォーターでは、現在私的に所有されているゴールドの10/20/30/40/50%がビットコインにシフトした場合、逆にビットコインの10/20%が株式やゴールドなどの他の資産にシフトした場合など、多岐にわたるシナリオを定量的に分析しています。

レイダリオはビットコインは長期的に存在し得るものの、かなりの不確実性を伴う投資対象であり、80%を失っても問題ないと思える金額なら投資できると結論づけています。

参考:ビットコイン関連のグラフ

ビットコインとゴールドの時価総額比率です。

直近ではビットコインの時価総額がゴールドの5%程度まで急伸していることが分かります。

暗号資産内での時価総額の内訳推移です。

青がビットコイン、赤がイーサリウム、緑がその他の暗号資産です。

2017年末と2020年末の価格急騰場面での各暗号資産のパフォーマンスです。

青がビットコイン、赤がイーサリウム、緑がリップル、灰色がライトコインです。

ゴールドとビットコインの総供給量の伸び率です。

ビットコインの総供給量(21百万コイン)のうち、90%はすでに発掘済みですので、今後も供給量の伸びは鈍化していきます。

左図は世界の現地通貨建債券のうち、利回りが1%未満のものの割合を示しており、右図は米国の実質金利を示しています。

ビットコインもゴールド同様、キャッシュフローを生みませんので、低金利環境であるほど、相対的な保有コストが下がり、価格は上がりやすい傾向にあります。

ビットコインを保有するのは合理的な選択肢だと思う

私自身も2-3月にかけてトロント証券取引所に上場しているビットコインETF・BTCCの保有を検討しました。

当時はゴールドの保有比率がターゲットから1%強落ちていたので、その分をビットコインを組み入れることでリバランスすることを検討していた次第です。

結局は手続き上の問題と気紛れで購入は見送りましたが、資産クラスの多様化・収益性の追求の両方の観点からビットコインをはじめとする暗号資産を一定程度保有することは合理的な選択肢だと思います。

時期は逸していますが、私もそのうちビットコインを保有するかもしれません。

本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。

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