現在SBI証券で取り扱いのある海外REIT ETFのなかでも異色の銘柄がSRETです。
この銘柄は世界で最も配当利回りの高い30銘柄に投資をするというデンジャラスな手法を取っています。
今回はこの刺激的なリートETFであるSRETについて見ていきたいと思います。
SRETの基本情報
SRETはGlobal Xという会社が運用するETFで、配当利回りとボラティリティに着目したスマートベータ型のREIT ETFです。
ドイツ企業のSolactive AGが提供する「Solactive Global SuperDividend REIT Index」をベンチマークとし、世界の高配当利回りREIT30銘柄に投資をすると謳われています。
具体的な30銘柄の選定方法は以下のとおりです。
1.世界のREITのなかから配当利回りで上位60銘柄を抽出する
2.上記60銘柄のうち、直近90日のボラティリティが低い30銘柄を投資対象とする
3.構成銘柄については四半期ごとにモニタリングするものの、基本的に銘柄の入れ替えとリバランス(均等投資)は年一回、毎年1月の最終営業日を実施する
配当重視の均等投資ということで、SPYDのREITバージョンといったイメージでしょうか。
SRETの魅力は上記のとおり主に3つです。
- 高い分配金利回りが期待できる
- 毎月分配金を出してくれる
- グローバル投資による分散効果(地理・金利リスク)
設定は2015年3月16日と比較的歴史は浅く、直近の著しい株価下落によって純資産額も280百万ドル(300億円程度)まで目減りしています。
2020年4月の分配金に基づく配当利回りは11.44%とかなり高いですが、経費率も0.59%と高いです。
SRETのセクター比率と構成銘柄
2020年4月17日時点でベンチマークのSolactive Global SuperDividend REIT Indexの構成比率(通貨・国別)は以下のとおりです。
リバランス前なのであまり参考にならないかもしれませんが、2019年12月31日時点でのセクター比率は以下のとおり、モーゲージREITが約60%を占めています。
日本ではないタイプのREITであるモーゲージREITについて、Global X Japanのウェブサイトで下記のとおり説明されています(mREITとはモーゲージREITのことです)。
ベンチマークの構成銘柄の上位10位は以下のとおりです。
構成銘柄①:OMEGA Healthcare Investors, Inc. (OHI)
全米及び英国で事業展開をしている高齢者向け施設のREITです。
過去のパフォーマンスは良好です。
受取賃料・利息の地域・オペレーターごとの内訳は以下のとおりです。
リース契約の残存期間はかなり長いので、オペレーターが債務不履行に陥らない限りは安定的な収入が期待できます。
構成銘柄②:KKR Real Estate Finance Trust Inc. (KREF)
世界有数の投資会社であるKKRが運用するモーゲージREITです。
端的に言えば、「メジャーなプレイヤーが保有する主要都市の優良資産を対象にお金を貸します」といったところでしょうか。
ローン総額の84%はオフィスと住宅を対象に貸し出しており、平均ローン金額も200億円弱と大型の取引をメインに扱っていることが分かります。
ここ3~4年で大きく事業を拡大し、業績を伸ばしていましたが、コロナショックを受け、ここからどうなるかですね。
構成銘柄③:Manulife US REIT (BTOU)
こちらはアメリカの不動産を投資対象としていますが、シンガポールに上場しているS-REITです。
個人的には海外不動産を扱う非シンガポール資本のS-REITには地雷っぽさを感じてしまいます…
本国で上場できるならそちらで上場するのが一般的ですし、イマイチなポートフォリオを抱えた機関投資家が出口戦略としてS-REITを検討したり、実際に使ったりするのを見てきているからです。
この3年ほどのパフォーマンスは安定していますね。
9物件からなるポートフォリオです。
トロフィーもしくはクラスAというわりにはCap Rateが5.7%以上の物件が6物件を占めているので、詳細は分かりませんが、それほどコアなポートフォリオではないのかなという印象です。
SRETの運用実績と株価推移
直近で株価が半分くらいになったので、2020年3月末で区切るとどの期間でも大幅なマイナスリターンになっています。
ただ、好況期を含め、全般的にインデックスとの乖離が大きい点には留意しておいた方がよさそうです。
なお、参考までに下記のとおり2019年12月末までは設定来リターンが年換算9%と良好なパフォーマンスを記録していたことも紹介させていただきます。
配当金は2020年3月までは安定していましたが、2020年4月に35.4%の減配となりました。
減配された2020年4月の配当が12ヶ月続くと仮定すると配当利回りは11.32%となります。
結論:ポートフォリオのスパイスとしてちょっと買ってみたい
ここまで見てきたようになかなかワイルドな銘柄であることには間違いありません。
しかし、現在の配当が続けば、毎月分配で11%近い利回りが期待でき、かつ直近の値下がりも半端ないことから、投下資金を回収できる可能性は十分あると考えています。
決してポートフォリオのコアに据えたい銘柄ではありませんが、個人的には全体の1~2%程度に抑えて保有する分にはモーゲージREITの勉強にもなるし、面白いかなと思っています。
本日は以上です。最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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