本日は世にある債券ETFのなかで、最もハイリスク・ハイリターンなもののひとつである「JNK」について、分析・考察したいと思います。
投資不適格債のみをかき集めたハイリスクな債券ETF
高配当で名高いJNKは、投資不適格債を投資対象とする債券ETFで、直近12か月の分配金利回りは5.44%です。
投資不適格債とは、格付会社が債券に付与する格付けのうち「BB」以下の格付けになっている債券を言いますが、要は発行企業の信用力が低く、金利の支払いや元本の償還に不確実性があるとみなされている債券のことです。
投資リスクが高く、債務不履行に陥る可能性(=債券が紙くずになる可能性)があることからジャンク債(Junk Bond)、また投資適格債よりも高い利回りが期待できることからハイ・イールド債(High Yield Bond)とも呼ばれています。
なお、S&Pによる格付けの定義は以下のとおりです。
ポートフォリオの概要(格付、利回り、経費率など)
上述のとおり、直近12か月の分配金利回りは5.44%で、経費率は0.40%です。
この数字をどう捉えるかは人それぞれかと思いますが、他の金融商品の利回りと比較するといずれも高めの数字であることは間違いありません。
発行体の業種別の構成では、Communications(通信)が最も高い割合を占めています。
通信の次は、Consumer Cyclical/Non-Cyclicalと消費財が続いており、この3業種で全体の半分を占めています。
次は組み入れ債券の格付と残存期間を確認してみましょう。
投資不適格とされる格付けがBB、B、CCCの債券で構成されています。
投資適格とされるBBB以上の債券は入っていない、ピュアな投資「不適格」債券のETFであることが分かります。
残存期間は、5~10年が70%以上を占めています。
最後に銘柄数と組み入れ比率上位10銘柄についてです。
組み入れ債券の数は893、上位10銘柄が全体に占める割合は4%程度と、可能な限り、分散が図られていることが分かります。
個別では投資を躊躇してしまうような債券でも、このような形でETFとしてパッケージ化することで、多くの投資家が投資可能になるような商品に仕上げています。
高めのコストと分配金の減少傾向が気になる
ジェレミー・シーゲル教授も、著書のなかで「高配当株と同様の配当再投資効果は、REITやハイイールド債でも期待できる」と述べており、ハイイールド債への投資に対しても一定の効果を認めています。
実際にシーゲル教授のこの言葉がJNKへの投資に際して私の背中を押してくれたわけですが、個人的にはJNKへの投資を今後増やしていくつもりは特にありません。
その理由が下記のふたつです。
- 高めの総経費率(0.40%)
- 毎年減少している分配金
日本の投資信託などで0.4%以上の手数料を払っている方は上表をよくご覧ください。
JNKの総経費率は0.40%ですが、2007年の設定来のリターンを見ると、インデックスに対して年率2%近くの劣後しています。期間を短くし、直近5年間で見てみても1%以上の差が生じています。
この差の大部分は0.4%の経費に起因していますので、長期投資においていかにコストが重要か分かります。
こちらは分配金の推移です。困ったことに毎年着実に減っていっています。
2018年から2019年にかけては微増していますが、今後も分配金の水準を注視していく必要があります。
上記がJNKの設定来の株価推移ですが、中長期的にホールドした場合にキャピタルゲインは期待できず、配当再投資をパフォーマンスの源泉とする必要があることが分かります。
結論:債券ポートフォリオのスパイスとして少々組み入れる
私の債券ポートフォリオの大半は、投資適格の長期社債ETFが占めています。
JNKは5~10年の中期債で、かつ投資不適格債ですので、債券ポートフォリオのDiversificationを図る観点、及びポートフォリオの利回り向上の観点から、全体への影響を抑えた比率(5%未満)で組み入れておこうと思います。
リスクを取らないと高い利回りは得られないので、個別の投資については適度にリスクも取りつつ、全体のリスクはポートフォリオレベルで管理していきたいと思っています。
本日も最後まで目を通していただき、ありがとうございました。
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