レイ・ダリオ推奨 黄金のポートフォリオ「オール・シーズンズ戦略」について

オール・シーズンズ戦略

世界最大のヘッジファンド・ブリッジウォーター社を率いるレイ・ダリオ氏が個人投資家向けに紹介した「オール・シーズンズ戦略」についてまとめました。

黄金のポートフォリオとも称される「オール・シーズンズ戦略」の魅力を皆さんに伝えるべく全力で解説します!

オール・シーズンズ戦略はとにかく下落相場に強い

オール・シーズンズ戦略とは、アンソニー・ロビンス著「世界のエリート投資家は何を考えているか -黄金のポートフォリオのつくり方-」にて紹介されているレイ・ダリオ氏が個人投資家向けに紹介したポートフォリオです。

レイ・ダリオ氏が率いるブリッジウォーター社では、どのような経済環境下でも安定的な収益を上げる「オール・ウェザー戦略」というものを提唱・実践しています。

ただ、「オール・ウェザー戦略」はレバレッジやデリバティブなど高度な金融手法を駆使しており、個人投資家がそのまま実践することは困難です。

そこで「オール・ウェザー戦略」のエッセンスを抽出し、個人投資家向けに簡素化したポートフォリオが「オール・シーズンズ戦略」となります。

このポートフォリオのすごいところは信じられないほど下落相場に強いところです。

バックテストの結果は驚異的ですので、紹介させていただきます。

下表が1935年~2013年の約80年間で特に株式市場が大きく下落した7年間のS&P 500とオール・シーズンズ戦略のパフォーマンスを比較したものです(配当再投資分を含む)。

          S&P 500     オール・シーズンズ戦略 
 1937年  -35.03% -9.00%
1941年 -11.59% -1.69%
1973年 -14.69% 3.67%
1974年 -26.47% -1.16%
2001年 -11.89% -1.91%
2002年 -22.10% 7.87%
2008年 -37.00% -3.93%

2000年以降を見てみると、ITバブル、リーマンショックともにほぼ無傷で乗り切っていますし、それ以前に遡っても1937年の-9.00%が過去最低のパフォーマンスです。

リターンについても、期間は異なりますが、1984年から2013年の30年間で年換算9.72%(手数料控除後)のリターンを記録しており、十分なリターンが得られています。

直近のパフォーマンスを見ても、リーマンショックの前年である2007年1月1日から2021年12月末まで綺麗な右肩上がりを描いており、直近のコロナショックも全くの無傷で乗り切っています。

上記のとおり、2015年と2018年はリターンがマイナスだったものの、2007~2021年までの15年間では年換算8.04%のリターンを記録しており、資産を3倍以上に増やすことに成功しています。

株式30%/中期国債15%/長期国債40%/金7.5%/コモディティ7.5%

このスーパーなポートフォリオはどうすれば作ることができるのでしょうか。

同書では下記のポートフォリオが「黄金のポートフォリオ」(オール・シーズンズ戦略)として、紹介されています。

  • 株式(S&P 500もしくは他のインデックス)…30%
  • 中期米国債(7~10年満期)…15%
  • 長期米国債(20~25年満期)…40%
  • 金…7.5%
  • 商品取引(コモディティ)…7.5%

世間一般で言われているモデルポートフォリオとはだいぶ異なりますね。

まず、債券が全体の55%を占めていますが、これは一般的な個人投資家のポートフォリオに比較してかなり大きなアロケーションといえます。

また、金とコモディティの比重も非常に大きく、計15%を株と債券以外のアセットに振り向けていますが、これは後述のとおり、主としてインフレヘッジを狙っています。

このポートフォリオは米国在住で米ドルで生活している個人投資家を念頭においているため、すべて米ドル建て、かつ米国市場を対象とした金融商品で構成されています。

よって、日本に居住し、日本円で生活している人にとっても最適解なのかという点については、議論の余地はあるかもしれません。

しかしながら、少なくともドル建てでは安定した収益を生むことが期待できますし、私自身はドル建てでポートフォリオを構築しているので、そのまま参考にしてよいと考えています。

株式は十分な分散を図るためインデックス連動ETF

ここから上述のポートフォリオの構成要素をひとつずつ見ていきたいと思います。

まずはポートフォリオの30%を占める株式からです。

分散投資の有効性を確信しているダリオ氏は、個人投資家にも十分な分散を図るためにS&P 500やその他のインデックスに連動するETFを活用して株式のエクスポージャーを確保することを勧めています。

具体的には、各人の好みに応じて、下記のETFからひとつ選び、全体の30%程度の資金を投じることが効果的かつ効率的と考えられます。

S&P 500米国市場全体(中小型株含む)
VOO(Vanguard/経費率0.03%)VTI(Vanguard/経費率0.03%)
IVV(BlackRock/経費率0.03%)ITOT(BlackRock/経費率0.03%)

私自身はバンガードの大ファンで、米国をカバーするETFはVTIを活用しています。

S&P 500連動と小型株を含む米国市場全体のどちらを選んでも、ほとんど差はないとも言われていますが、長期的には小型株が大型株をアウトパフォームするという研究結果もありますので、個人的には中小株を含むVTIで米国市場全体をカバーする方を好んでいます。

債券の役割は安定収益と株式のリスク低減

ポートフォリオの55%が米国の中長期国債に充てられていますが、これは債券の持つ特性が株式のリスクを軽減することを期待してのことです。

債券の値動きは株式と比較して遥かに小さく、かつ金利の引き下げは債券価格を上昇させます。

したがって、全般的にポートフォリオの値動きを抑えつつ、株価が大きく下がるような経済危機時には、経済状況を好転させるための中央銀行の利下げの恩恵を受けて、価格が上昇することが期待できます。

つまり、債券をポートフォリオに加えることでリスクを軽減する効果が期待できるということです。

なお、米国債単体で見た場合の1978年1月~2020年4月の約42年間のパフォーマンス(配当再投資ベース)は以下のとおりです。

米国10年債
(1978年1月~2022年1月)
米国長期債
(1978年1月~2022年1月)
初期投資額$10,000$10,000
最終残高$207,240$325,508
年平均成長率7.12%8.22%
標準偏差8.28%11.13%
 最大利益(単年) 39.57%47.10%
最大損失(単年)▲10.17%▲13.03%
最大下落幅▲15.76%▲23.12%

下記のとおり、過去40年間は金利が継続的に低下してきたため、債券には強い追い風が吹いており、パフォーマンスは素晴らしかったことは頭に入れておくべきかと思います。

米国10年債金利

過去40年間とは異なり、昨年のコロナショックを受けて、米国債金利の低下余地(=債券価格の上昇余地)はほぼなくなっていますので、今後はこれまでとは逆に金利上昇によるダウンサイドリスクを意識すべきと個人的には考えています。

主にインフレヘッジとして金とコモディティを組み入れる

オール・シーズンズ戦略では金とコモディティを7.5%ずつ組み入れています

これらのアセットはインカムを生まないため、ポートフォリオに組み入れることに抵抗感がある方もいらっしゃるかと思います。

ただ、レイ・ダリオ氏のブリッジウォーター社では、過去数百年間の世界中のあらゆる国と資産クラスの情報を収集・分析した結果、金とコモディティをポートフォリオに組み入れる意義を見出していることは理解すべきかと思います。

金とコモディティはともにインフレ時に高パフォーマンスを示すことから、特にインフレに弱い債券の補完的な役割を担うことが期待できます

金はインフレヘッジのほかにも、有事の金と言われるように、クライシス・ヘッジ(経済危機、パンデミック、戦争などで値上がりする)としても有効です。

リーマンショック時には、株式との逆相関が期待される国債までもが下落しましたが、この時に大幅な価格上昇によって、ポートフォリオ全体のパフォーマンスを支えたのが金です。

また、高インフレと金利引き上げで1973~1974年に株式市場は大崩れとなりましたが、同期間に金とコモディティ(主に原油)は大きく値上がりしており、ここでも分散効果を確認することができます。

レイ・ダリオ氏は、特に金をポートフォリオに組み入れることの有効性を確信しており、すべての投資家がポートフォリオの5~10%を金で保有すべきだ、とも述べています。

結論:株式は分散投資、債券は様子見、コモディティは資源株、ゴールドはETF

以上、レイ・ダリオ氏推奨の「オール・シーズンズ戦略」についての考察でした。

ここまでを踏まえて私なりの考えをまとめてみたいと思います。

株式:レイ・ダリオ氏の提言を踏まえ、米国だけではなくグローバルに広く分散する形で株式のエクスポージャーを取りたいと思います。

具体的には、VTI(全米株式ETF)、VEA(先進国株ETF)、VWO(新興国株ETF)に定期積立をしながら、気に入ったスマートベータETFなども組み入れて、いろいろと試していければと思っています。

債券:コロナショックによってゼロ金利になったところから、高インフレに起因して久しぶりのしっかりとした利上げが今後1~2年で確実視されています。

したがって、個人的には本記事で紹介したほど債券のエクスポージャーを取ることは2022年2月時点では賢明とは言えないと考えていますし、実際にレイ・ダリオ氏も2021年からは債券の比率をほぼゼロにして、債券の代替となるようなCFを生むであろう株式の比率を高めています。

とはいうものの、株式と相関が低い(もしくは逆相関の)アセットとして債券は外しがたいので、しばらくは控えめにしつつも、一定程度は債券も保有していきたいと考えています。

コモディティ:コモディティはリーマンショック以降、ひどいパフォーマンスが続いていましたが、2021年から状況は大きく変わりました。

このところ、いずれの資源銘柄も絶好調で配当もガンガン出してくれたりしていますので、レイ・ダリオ氏の勧めるとおり、7.5%程度の比率で資源株を保有していければと思っています。

コモディティに関してはGUNRなどいくつか魅力的なETFもありますが、これまで個別の資源株を握るスタイルできていますので、当面はこの方針で続けていければと思っています。

ゴールド:こちらもレイ・ダリオ氏のアドバイスに従いまして、7.5%ほどのエクスポージャーを金鉱株なんかも組み合わせながら取っていければと思っております。

以前よりゴールドETFではGLDMを選好しておりましたが、今年に入って経費率が引き下げられ、以前よりも魅力的になったと感じております。

ですので、今後もゴールドのエクスポージャーはGLDMを中心に取っていければと考えています。

本日は以上です。最後まで目を通してくださり、ありがとうございました。

コメント

  1. かなまる より:

    いつもブログを楽しく拝見させていただいております。とても勉強になります。
    質問なのですが、SBIでコモディティETFがないとのことですが、RLYはコモディティの代用にならないでしのうか?

    • にこまる にこまる より:

      コメントありがとうございます。RLYも一定程度コモディティの代替として機能するのではないでしょうか。
      ただ、RLYは既存のETFを組み合わせた所謂Fund of Funds型のETFですので、本来であればRLYの構成銘柄になっている各ETFに直接投資する方が望ましいとは思います。

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